コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
東京五輪は復興五輪?コロナに勝った五輪?本当はどんな大会?
東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元総理がひどい女性差別発言の責任を問われて退任。橋本聖子五輪担当大臣が横滑りで就任。五輪大臣には丸川珠代元五輪大臣が復帰した。
泰山鳴動鼠一匹。いや、鼠一匹も出ず、と言うべきか。
橋本新会長も丸川再任大臣も自民党森派の流れをくむ細田派の一員。橋本氏は政治家になったときから森氏のもとで育てられた人材で、二人とも森氏の影響下にある人物。
何も変わり映えしないと思えるが、それでも女性2人(小池百合子東京都知事を含めると3人)が東京オリ・パラのトップの座に就いたわけで、国際オリンピック委員会(IOC)や海外メディアからは(表向き?)歓迎されたようだ。
今回の組織会長交代劇のゴタゴタは以前から予想できないことではなかった。
森氏は会長時代の15年10月、毎日新聞の取材に答え、「私の役割はあと3年」と述べ、五輪開催前には別の人物(退任後の安倍総理?)に引き継ぐと語っていたのだ。
その「決意」が変わった理由は知らない(安倍総理の退陣が延びた?)が、それ以上に問題なのは組織委会長時代の森氏が「東京五輪の形」を示さなかったこと。どんな大会にする(したい)のか?を言ってくれなかったことだ。
大会ビジョンは「全員が自己ベスト・多様性と調和・未来への継承」、スローガンは「ユナイテッド・エモーション(感動で一つに!)」、それに加えて「復興五輪」「コロナに打ち勝つ」……。しかし、そんな抽象的なもの、あとから付けたものでなく、たとえば「誰もがスポーツを楽しめる社会に!」でもいい。
とはいえあと半年足らず。さらにコロナ禍。新会長に新方針を期待するのも無理ならば、どうか「中止する勇気も」持って下さいと言いたい。
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