コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
2020年12月23日
東京オリンピック「中止」がなかなか決まらない理由
10月中旬、SNSで「来年のオリンピックは開催中止」との情報が飛び交った。
発信元は判然としている。元博報堂社員で著述家の本間龍氏。広告代理店ルートなどからIOCが既に「東京五輪中止」を日本政府や組織委幹部に「伝えた」というのだ。
新型コロナウイルスの欧米での再拡大を考えるなら「中止」は現実的といえるだろう。が、日本政府(菅内閣)も組織委員会も開催に向けて動いている。IOCも公式には中止を否定。しかし1年延期が決定したときの経緯を思い出すべきだろう。
それは安倍総理(当時)がバッハ会長との電話会談で1年延期を言い出し、バッハ会長も「それに賛成」と答えて決まった。
明らかにIOCが五輪への「政治介入」を許したのだが、IOC憲章には「大会はオリンピアード(4年間)の初年に開催」と明記され、憲章の改正にはIOC総会の決議が必要だが、政治の介入なら理事会の承認で済む。
そこで「延期してでも開催したい(中止にしたくない)」バッハ会長と安倍総理は、安倍総理が「先に言い出すこと」で合意したのだろう。
では今回はどうなのか?大会の主催社IOCは延期の間に保険会社との交渉で、中止の場合の保険金を得ることが決まったらしい。ならば東京も開催都市として、開催出来なかった損失補償として受け取る権利があるはずだ。
が、それらには自ら「中止」と言わずにIOCの「中止決定」に「仕方なく」従うカタチが必要だ。そこで東京(日本)は最後まで開催準備を行う……。
こんな政治的駆け引きによる中止決定の遅れで困るのは競技者と納税者(日本国民と東京都民)。中止なら無駄金を使う前に早く決めるべきだ。
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