コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
2020年10月29日
スポーツ界の体罰をなくすには、まず軍隊的な高校野球を改めねば!
7月20日。国際NGO(非政府組織)のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が記者会見を開催。日本の学校の運動部活動における体罰問題の調査結果を「数えきれないほど叩かれて~日本のスポーツにおける子供の虐待」と題したレポートにまとめて発表した。
1978年創立のHRWは地雷禁止キャンペーンなどのさまざまな人権活動を行っている団体だ。報告はショッキングな内容で、顔面から血が出て止まらないほどコーチから殴られ続けた女子バスケットボール選手、スイミングキャップのひもで首を絞められ、プールに沈められた水球選手など、陰惨な体罰の生々しい証言が並べられた。
日本オリンピック委員会(JOC)の調査では、「11.5%の選手が競技活動の際に暴力的なパワハラ、セクハラを経験」と答え、全国大学体育連合の調査でも、20.5%の学生が中学高校時代の運動部で体罰を受けたと回答。
HRWは、日本のスポーツ界の元凶を「Like Military(軍隊的)」と表現した。
が、多くの日本人は、何が「軍隊的」かを理解していないようだ。例えば高校野球の球児たちの丸刈り頭や直立不動の大声での選手宣誓、それに(今年はコロナでなかったが開会式での)分列行進などは完全に「軍隊的」で、断じて「スポーツ的」と呼べるものではない。が、多くの人々はそれらの行為を「高校生らしい」と称賛している。
そのような軍隊的行為は、旧帝国陸軍で上官が下級兵士に行なったビンタやゲンコツと紙一重。軍隊的要素の全てがなくならない限り、日本のスポーツ界から「暴力(体罰)」は消えないだろう。そのことに、高校野球を主催する朝日新聞や毎日新聞のジャーナリズムは気付いているのだろうか?
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