コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
東京五輪の1年延期は中国に対抗する政治的判断?
COVID-19=新型コロナウイルスの世界的蔓延で、東京五輪・パラリンピックは1年間の延期となり、2021年7月23日(金)が開会式、8月8日(日)に閉会式。パラリンピックは8月24日(火)に開会式。閉会式が9月5日(日)で今年と曜日は同じ。日付が1日前倒しの日程となった。
どうせ延期するなら猛暑の夏を避けて春や秋にすれば…という案もあったようだが、春開催はウイルスの収束が予選の開催に間に合いそうもなく、秋開催はメジャーリーグのワールドシリーズ、NFL(アメフト)、NBA(バスケ)、NHL(アイスホッケー)の開幕など、人気プロスポーツとスケジュールが重複。IOC(国際五輪委)にもっとも多額の放送権料を支払っているアメリカのTV局が承認せず不可。
ならば2年後の春に…と誰もが考えるだろうが、22年には北京冬季五輪があり、11~12月にはサッカーW杯カタール大会もある。そこでスポンサーが重複し、資金(協賛金)を集めるのが難しくなるから無理、との見解を組織委の森喜朗会長は口にしていた。それに2年後となると、運営に当たる組織委も、ゼロから挑戦(練習)する選手たちも、負担は大きすぎるだろう。
が、1年後の延期決定にはもっと重大な理由があったようだ。それは東京五輪を、北京冬季五輪よりも先に開催したいということ。
もしも東京五輪が北京冬季五輪のあとになれば(また万一中止となれば)、中国はCOVID-19に打ち勝った五輪大会だと北京大会を大々的に世界にアピール(政治利用)するに違いない。
東京大会はそんな中国の深謀遠慮を打ち砕くためにも、来年中に開催しなければならない(と組織委幹部は語る)。
オリンピックとは疑いなく政治的なイベントなのだ。
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