コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
フランス検察庁が捜査 竹田JOC会長は貧乏くじを引かされた?
JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和会長が、6月の任期満了を機に、会長職を退任すると発表した。
東京五輪の招致委員会理事長として海外のコンサルタント会社に送金した約2億円に賄賂の疑いがあると、フランス検察庁が捜査。国外に出れば逮捕も…ともいわれ、即刻辞任の声もあったが、任期満了まで延ばされ退任となったのは、自らの潔白を主張してのことといえる。
実はリオ五輪招致でも同じ事件が起き、招致委や組織委会長を務めたヌズマン・ブラジル五輪委会長は一昨年10月に逮捕された。その時も約2億円が元IOC委員のディアク元世界陸連会長に渡され、16年五輪開催地としてリオに投票するようアフリカIOC委員の15票の取りまとめを依頼。それが賄賂とされたのだ。
竹田会長は約2億円を正当なコンサルタント料と主張。しかし送金先の会社は、ディアク氏との関係が深い幽霊会社(ペーパーカンパニー)とも送金専門のトンネル会社ともいわれている。
はたして真相は…という問題はさておき。五輪開催地の決定には常にこのような「疑い」が存在した。1964年東京五輪招致の時も、骨董品好きの当時のブランデージIOC会長に柿右衛門の壺や豪華な根付けが贈られ、長野冬季五輪の招致では、高価な日本刀がプレゼントされたといわれている。
もちろん他の都市も似たり寄ったりで、IOCが立候補都市とIOC委員の接触を禁じる厳格なルールを定めたら、今度は元IOC関係者などによるコンサルタント会社が跳梁跋扈し、招致合戦で暗躍するようになった。
こういう経緯はバッハ会長をはじめとするIOC委員も、東京五輪招致委の幹部も、誰もが知っているはずだ。ならば竹田JOC会長は、貧乏くじを引かされたというワケ?
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