コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
未来のスポーツイベントにはスマホと仮想通貨が必要?
昨年の日本のスポーツ界は大谷翔平や大坂なおみの大活躍、卓球・バドミントン選手の大躍進などの一方で、角界の暴力事件、日大アメフト部の悪質タックル事件、レスリング、ボクシング、体操のパワハラ事件…等々、不祥事が相次いだ。が、世界的には、未来のスポーツを大きく揺るがす出来事が二つあった。
一つはサッカーのロシアW杯。日本チームのベスト16も素晴らしかったが、それにも増して素晴らしかったのは大会運営で、会場に足を運んだ観客にはチケットのほかに「ファンIDカード」が配られ、チケットの転売帽子、本人認証、フーリガンの排除、テロ対策などに効果を発揮した。
しかも外国からのファンはIDカードにパスポート番号も記載され、ビザなしで入国。会場となっている都市をつなぐ鉄道にはIDカードで無料乗車でき、W杯が終わったあとも年末までは、ファンIDカードが観光ビザとして通用する措置がとられた。
2年後の東京五輪やその後の国際スポーツイベントでは、さらに進化したシステムとして、チケットレス入場や本人認証など、全ての処理がスマホで行われるようになる可能性も高い。
もう一つ。昨年は欧州サッカーチームのパリ・サンジェルマンが仮想通貨を発行。チケットやグッズ等の販売を独自の通貨で行うシステムを始めた。これにIOCやFIFAも注目。もしも将来的に、オリンピック通貨やフットボール通貨が流通し、国際的なスポーツ関連の経済活動がそれらの仮想通貨で行われるようになれば、五輪開催の巨額の赤字問題も解決……と言っている人もいるらしい。
身体を使うスポーツという現実(リアル)の営みにも、仮想通貨(バーチャルカレンシー)という仮想現実(バーチャル・リアリティ)の未来の波が押し寄せているようだ。
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