コラム
第36回「竹田城」~天空の城 日本のマチュピチュ~
所在地=兵庫県朝来市和田山城竹田字古城山一六九
種類=悌格式 山城
別名=虎臥城
生れて初めて「青春18きっぷ」を使って、憧れの「竹田城」に行って来ました。この城は大変神秘的でマニアの聖地といわれています。
堅固な石垣と幽玄の世界
築城者亡き後、400年間眠る
石垣しか残っていないのに人々を魅了する理由は、貴重な石垣とそれらが織りなす幽玄な世界が広がっているからです。石垣は石工集団のスーパースター穴太衆が手掛けた野面積みで、広範囲に状態良く残っています。また、算木積の隅石の隙間は小さな石を詰めて工夫調整され、古い時代の石垣ですが美と知恵が堪能できます。
一時期この城は入城禁止の時期がありましたが、今は道も整備され見学ルートも解り易い表示になっているので、遠足感覚で何方でも時代の息吹きを感じることが出来るでしょう。
しかし、なぜ標高354mの場所に堅固な石垣の城が築かれたのでしょぅか。その答えは近くにある生野銀山です。銀山がこの地の価値を高めたといわれ、織田信長の命令でこの地を手に入れた豊臣秀吉が、築城者の赤松広秀の後ろ盾になっていたのです。立派な石垣は秀吉の権力を示すためのものでもありました。
広秀は関ヶ原合戦後、西軍から東軍へ寝返りましたが、鳥取城下を焼き討ちにしたことで切腹を命じられ、城主を失った竹田城は徳川幕府の管理となったものの放置され、400年以上も山上で眠り続ける事となりました。
天空の城といわれる竹田城。良く晴れた晩秋の早朝だけ雲海に浮かぶ姿を現します。雲海を見る場所のオススメは、竹田城の東側にある高い山の立雲峡です。山の低い部分に霧が現れ視界の果てまで海のように広がり、そこに浮かぶ竹田城は神秘的で人間の感覚を超えたものがあり言葉もありません。けれども、この絶景は太陽が顔を出すとあっという間に一瞬にして消え去ってしまいます。
気象状況だけは神のみぞ知る。いくら天気でも必ず見られる保証はありません。だからこそ寒さの中で待つ辛さはあっても、現れた時には心も身体も震える感動があるはずです。(老友新聞社)
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