コラム
第31回 「天守の基礎知識」…天守ってなに?なぜ江戸城に天守が無いのか。
大阪には大阪城。名古屋には名古屋城。東京には江戸城。
大阪城と名古屋城にはあって江戸城にはないもの。それは城の象徴ともいえる天守です。
皇居に行くと最近は海外の方が多く、
「なぜ、ここには天守がないのか?」
という質問を受けます。江戸城天守は、わずか30年の間に3度も建て替えられましたが、明暦の大火で焼失してそれ以後は再建されていません。
一般的に城の象徴は天守。では、天守とはいったいなんなのでしょうか。
天守は、城郭のほぼ中央に建てられる多層の櫓建築で、防戦と指揮という軍事機能が中心であり、また、政治の拠点として城主の権威の象徴でした。
天守が建てられる場所は、おもに本丸または、その中で一段高く造られた天守曲輪です。外観は三重、五重が多く、内部は三重の場合は3階から5階、五重は5階から7階と、多くの階に分かれています。もちろん、エレベーターなどはありません。
明治維新後、全国の城郭は残念にも壊されてしまいましたが、一部は元藩主や地方団体に払い下られ、この内、西南戦争の内戦や太平洋戦争の戦火を免れたのが「現存天守」と呼ばれています。現存しているのは十二天守です。
昭和30年代になると天守再建事業が進んで、図面や写真を頼りに外観は復元され、内部はコンクリートという「外観復元天守」が現れ、近年では、建築基準法や消防法が変わったことで、内部も忠実に木造で復元する「木造復元天守」が増えています。
また、天守は無かったのに観光用に造られた「模擬天守」や、以前は天守があったが、外観などに不明点が多く、推測で再建した「復興天守」と呼ばれるものも出来ています。
現存天守以外は昭和以降に再建されたものです。
さらに「あやしい天守」というのも存在しています。それは、城が実在しなかった場所に建てられたり、城址に建てられた天守風建物であったり、全く違う城の名前がつけられているちょっとあやしい建物です。
天守といっても様々ですから、その違いを確かめるのも城巡りの楽しさのひとつだと思います。(老友新聞社)
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