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三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

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2024年07月26日

第35回「着物生活」

十年に一度の暑さがほぼ毎年のようにある気がするのですが気のせいでしょうか?
なんとか生き残りましょう。
さて、今年の初めくらいから着物生活をしています。
私のような江戸時代の日本人体型(157センチ)はお客様から「父が着てた着物をぜひ着てください」と言われて頂くことが多いです。
あ、ちなみに江戸時代が日本の歴史上一番背が低かったとか。
閑話休題。
で、かなりの数の着物があります。
ただ高座では着られない種類の着物が多く、これではタンスの肥やしです。
だったら落語のためになるだろうと日常生活を着物で過ごすことにしました。

着物生活、なかなか大変です。
着なれているとはいえ日常生活となると勝手が違います。
まず袖。
ドアノブに袖のたもとを引っかけがち。
ビリっといきます。
料理する時もきちんとたすきがけしないとコンロで燃やしそうになります。

また温度調節が難しいです。
寒い時は着込めばいいのですが暑いとどうにもなりません。
着物には、冬は裏地がついてる厚手の袷(あわせ)→春は裏地のない単衣(ひとえ)→夏は薄手の絽(ろ)や紗(しゃ)、という季節ごとの種類がありますが、春がずいぶん短くなり高温な近年は夏物の着物で過ごすのはなかなかつらいです。
なので単衣の次がすぐ浴衣。
夏物の着物をあまり持っていないというのもありますが。
浴衣は涼しげでいいね、と言われることがありますが、涼しげなだけで全然涼しくないです。
暑いです。
Tシャツ短パンが一番です。
江戸時代の夏は今ほど暑くなかったでしょうし、それに浮世絵を見てると、夏の江戸っ子はだいたいふんどし一丁です。
いくら江戸っ子に近づくためとはいえお祭り以外で、ふんどしで歩いてたらたぶん捕まります。
なので浴衣で我慢です。

あと履き物も気をつかいます。
下駄ですごしてたのですが、兄弟子から「下駄は膝と股関節がやられる」とのアドバイスを頂きました。
昔は地面が土ですが、今はアスファルトです。
衝撃が全部膝と股関節に来るため長時間履いてると歩けなくなるとか。
ラバー素材をすすめられ購入したため、カラコロカラコロとオツな音はしません。
ペタペタいってます。
着物生活、難儀…

ではありますが江戸と現代の違いに色々気づかされ勉強になります。
草むらを歩いてて、ズボンとスニーカーなのと着物に草鞋ばきじゃ足の運び方が変わるから疲労度が違うだろうな、ですとか。
それがなにに役に立つかは分かりませんが、自分の中の想像の種、枕のひとつにでもなれば充分だなと思っています。
ただ大変ではありますがオシャレに着こなしが出来れば楽しいですし、昔から洋服そのものが似合わないなぁと思ってたのでようやく正解に出会えた気分です。
また足元がビショビショになるのが嫌なので雨天中止にするなど緩めのルールでやってます。

夏祭りや花火大会などこれから浴衣を着る機会がある方もいるかと思いますが、ぜひ楽しく着て下さい。
足元も下駄じゃなくてサンダルでもいいと思います。
人混みで足踏まれてケガしたらせっかくの思い出も台無しですから。
そして着物でのお出かけのお供には落語をぜひ!
少しは江戸情緒な気分も増すかもしれません!
ではまた来月!

お知らせ

木母寺三遊塚落語会

木母寺三遊塚落語会
日時:9月2日(月)14時開演(13時半開場)
会場:木母寺本堂(東武スカイツリーライン鐘ヶ淵駅徒歩7分)
出演:三遊亭圓橘、楽生、ぽん太、萬丸
料金:1500円(ご予約不要)

三遊亭ぽん太の月例落語会

三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.48 演目:寝床、他
日時:9月7日(土)14時開演(13時半開場)
会場:アートスペース兜座
料金:予約2000円、U29割1500円、ぽん太初めて割1000円
予約・問合せ:pontathe2nd@gmail.com

※写真は4月のアメリカ滞在時の筆者
デトロイト美術館で老人に「なぜ君はここにいるんだ」と言われました(笑)

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三遊亭ぽん太
  • 三遊亭ぽん太
  • 落語家
  • 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
  • ぽん太さんのHP
    https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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