コラム
三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!
連載27「勉強」
こないだまで半袖でよかったのに急に冬の空気ですね。
着物も夏物から一気に冬用になったのでリュックが急に重くなり困ってます。
ずっと夏が続くと思ってたのに…
早く春来て…
さて落語は伝統芸能のはしくれでもあるので、日本文化の特徴『謙遜・謙譲』が多く使われます。
あ、このはしくれって表し方がすでに謙遜感ありますね(笑)
落語界では『勉強』という言葉が多用されます。
高座に上がる前、楽屋で必ず皆に「お先に勉強させて頂きます」と挨拶をします。
偉い師匠でも勉強させて頂きます、です。
もちろん手を抜いてやるというわけではありません。
家で一人で稽古をするよりもお客様の前でやる方がはるかに経験値が上がります。
誰も見てないとこでやって自分で自分の落語うまくなったなぁとか思っててもなんの意味もないですからね。
お客様に見てもらって楽しんでもらってこそです。
生の高座は真剣勝負の場であり修練の場。
なので遠慮も込めて勉強させて頂きます、と挨拶をします。
どんなベテランでも「それじゃこれから客席、爆笑の嵐にしてきますわ!」とは言いません。
まぁそういう人がいてもちょっと面白い気もしますが、そんなこと言う人はめちゃくちゃスベりそうですけどね(笑)
そしてお客様を困らせる言葉に『勉強会』というものがあります。
三遊亭ぽん太勉強会、などという使い方です。
落語詳しくない方にはなんのことだか分かりませんよね。
勉強会ってことは落語の成り立ちとか喋るの?などといらぬ混乱を招きかねない気がします。
これは初演のネタや数年前に一度やっただけのネタを数十人程のお客様の前で試す小規模な会を指します。
まだちょっと未完成なものをお客様に甘えさせてもらって勉強させて頂くという意味で勉強会と言います。
私が毎月やってるぽん太ラボという落語会もこれになります。
これがもっと練られた、ある程度どこに出しても間違いが無いというネタを揃えた会が独演会になります。
ただ落語家個人の気の持ちようではあるので明確ではないです。
また名人古今亭志ん朝師匠は独演会という呼称の仕方は恥ずかしいからと使わなかったそうです。
志ん朝師匠にそういわれると我々の立つ瀬がありませんが(笑)
私もなんとなく独演会という響きが仰々しい気がするので、ひとり会とか落語会などにしています。
別件ですが歌舞伎役者の一門の勉強会(踊りや長唄など)の会場が、我々なら超売れっ子の師匠方が独演会で使うような500人規模の会場でちょっと悲しい気持ちになりました(笑)
いよいよ年の瀬も迫ってきましたが、来年こそは夏の暑さや大雨など少しは地球に遠慮してもらいたいものです。
ではまた来月!
お知らせ
三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.42 演目:中村仲蔵、他
日時・12月23日(土)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円
池之端しのぶ亭初席
2024年1月2~4日
各日・一部13時開演・二部15時半開演(開場は開演の30分前)
出演:好楽一門、他豪華ゲスト
料金:予約3000円、当日3500円
予約、問合せ:pontathe2nd@gmail.com
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- 三遊亭ぽん太
- 落語家
- 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
- ぽん太さんのHP
https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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