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三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!

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2023年06月26日

連載22「怪談」

じめじめとした季節がやってきましたね。
年々気圧の変化に弱くなってきたぽん太です。
すぐ頭痛になりがちです。

さて、夏といえば怪談ですね。
私自身はホラー映画やお化け屋敷の類いは苦手です。
急に脅かされるのが心臓に悪いのでほとんど見ません。
ただ怪談をやるのは好きです。
脅かされるのは嫌ですが脅かすのは好きみたいで(笑)

同じ語り芸でも落語より講談の方が怪談には合うようです。
講釈師は自分達のことを『冬は義士 夏はお化けで 飯を食い』なんという風に表すくらいに講談と怪談は密接な関係にあります。
落語は基本的に登場人物の会話で物語が進みますが、講談は地の語り(演者自身の語り)で進みます。
一例をあげますと落語の定番であるはっつぁんがご隠居の家を訪れるシーンですが、落語であれば「こんちは」「おお、はっつぁんかい。まぁまぁおあがり」といたってシンプル。
これを講談風にすると、「宝暦二年の十一月。江戸神田白壁町の左官八五郎。この者が同町内の隠居宅を訪れた(パンパン)」みたいになります。
講談、かっこいいですね(笑)
このちょっと二の線な感じやかっちりとした地の説明が怪談と相性がいいようで。

一方、落語にも幽霊が出てくる噺はありますが、基本が滑稽噺なのでたいてい生きてる人間に騙されたりバカにされたりとあまり怖さの要素は無いです。
なにせ落語の身上は軽さにあります。
おどろおどろしさとは離れた芸能なので怖い噺特集と銘打たれた落語のCDを見つけると大丈夫かと心配になりますし、そもそも企画した人がちゃんと聞いてるのかどうかも疑問なことも。
うちにある怖い噺特集のCDに『不動坊』というネタが入ってましたが、これ、幽霊のフリして嫌いな人を脅かすって内容で、やる人がやれば30分ずっと爆笑の嵐みたいなネタです。
買った人が「騙されてうらめしぃ」と化けて出なければいいですが。

そんな落語にも三遊亭圓朝という天才が幕末から明治にかけて出現し多くの怪談を産み出しました。
昨年8月のコラムでその事は書きましたが、圓朝師匠自身も落語家の怪談はあくまで軽くやるべしと考えていたようです。
以前、歌舞伎版の真景累ヶ淵を観た時に落語よりも笑いが多く、もはや怪談ではなくコントじゃないかとちょっといぶかしみました。
ただ最近その圓朝師匠の怪談観を知り、圓朝作品は他の幽霊が出てくる噺よりもおどろおどろしくやりがちなのですが、むしろ歌舞伎の方が正しいかもと思い直すようになりました。
実際軽くやるとなるとめちゃくちゃ難しくはあるのですが…
さて今年は坂東玉三郎丈が夏に京都・南座で怪談牡丹燈籠を、秋に名古屋・御園座で四谷怪談をやるので、落語、講談、歌舞伎で怪談の表現方法を比べてみるのも一興かと思います。
ちなみに今年の私の夏の恒例圓朝作品口演は真景累ヶ淵!
わ、おあつらえ向きですね!
ご来場お待ちしてます!

三遊亭ぽん太

お知らせ

三遊亭ぽん太

三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.38~真景累ヶ淵連続口演編第二回~
日時・7月17日(月・祝)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円
予約、問合せ・pontathe2nd@gmail.com

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三遊亭ぽん太
  • 三遊亭ぽん太
  • 落語家
  • 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
  • ぽん太さんのHP
    https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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