コラム
三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!
連載19「習い事」
すっかり春めいてきましたね。
花見にはワンカップのぽん太です。
春ということで新しい事にチャレンジされる方も多いと思いますが、落語家は芸域を広げるためにお稽古ごとをしている人が多いです。
ベーシックなものだと踊り、長唄、小唄あたりでしょうか。
踊りは所作がきれいになりますし、唄は落語の中にもよく出てくるので上手いと噺に説得力がでます。
またスウェーデン人の弟弟子好青年君は習字を習っているので、最近僕らより上手いときがあります。
私は当連載第八回でも述べましたが、去年から義太夫を習い始めました。
義太夫をご存じない方にざっくりご説明しますと、三味線に合わせて、太夫と呼ばれる読み手が物語を語ったり唄ったりする芸能です。
昔の師匠達は結構習っている方が多かったそうで。
昭和の大名人八代目桂文楽師匠や私の師匠好楽の最初の師八代目林家正蔵師匠なんかが落語家だけの趣味の義太夫の会をやっていたとか。
ただ正蔵師匠はあまりうまくなかったらしくおかみさんと喧嘩になった時に「義太夫語るぞ!」と脅すとおかみさんが謝ったそうです(笑)
そんな義太夫を義太夫協会の教室に通い半年間、三味線と語り両方を習ったのですが、先日その発表会がありました。
我々教室の生徒とOBによるものです。
普段、人前で喋るのが商売ではありますが、初めてのことなのでめちゃくちゃ緊張しました。
まず落語の場合、言い方は悪いですがネタおろし(覚えた噺を初めてやること)でウケなかったとしても次の機会があります。
でも習い事の発表会は一回こっきりなので緊張の度合いが違います。
またいきなりトラブルがありまして。
まず一番最初に我々教室生による三味線の演奏なのですが、開演直前に緞帳が閉まってる中、所定の位置に座り、拍子木の音を合図に緞帳が開くという段取りでした。
それが会場の緞帳がスイッチを押してもまったく開かなくなりました(笑)。
仕方ないので無理矢理開いた状態にして、開場中からすでに全員板付きという。
かっこよくお辞儀した状態でスタートしたかったのですが、それも叶わず。
ただ三味線の先生の一言で落ち着きました。
「まぁお客さんからお金とってるわけじゃないからね」
確かに。
そして職業病ってのはあるもんですね。
開場中ついお客さんを見ると喋りたくなってしまい、「写真撮っても大丈夫ですよ~」「前からぜひ詰めて下さい!」など余計な事を口走ってました。
先生達は笑ってましたが、あんまり喋り過ぎると他の真面目にやりたいであろう生徒さんに悪いので最低限でお口にチャック。
多分、義太夫の会で私語を話すという滅多に無い瞬間だったと思います(笑)。
本番は三味線も語りも一生懸命大きな音や声を出しましたが、やはり初めての客前故の緊張で、焦ってしまったり迷ってしまったりと「やりきった!」と言えるものではありませんでした。
それは終わった後の他の生徒さんの顔を見ても同じで。
正直、去年の夏以降、落語よりも義太夫に割く時間の方が多かったですからね!
悔しいのでこの春以降もきちんとお稽古をしてまた発表会に控えたいと思います。
妻と喧嘩になった時に勝てるようにもしたいですしね!
お知らせ
三遊亭ぽん太の月例落語会
ぽん太ラボvol.37~真景累ヶ淵連続口演編~
日時・6月3日(土)14時開演
会場・池之端しのぶ亭
料金・予約1500円、U25割1000円、ぽん太初めて割500円
ご予約、お問合せ・pontathe2nd@gmail.com
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- 三遊亭ぽん太
- 落語家
- 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
- ぽん太さんのHP
https://pontathe2nd.amebaownd.com/
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