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コラム

2022年12月02日

第4回 「戸定邸」~幻の将軍・徳川昭武の別邸

ここ数年は秋が短くなったと言われています。これも地球温暖化の影響でしょうか。そんな短い季節だからこそ町に出かけて惜しみなく秋を楽しみたいです。

千葉県松戸駅から徒歩10分ほどの高台にある戸定邸に出かけてみました。「戸定」というのは場所の地名です。一帯は戸定台(戸定が丘)という高台で戸定とは中世の城郭の「外城」(とじょう)に由来しています。

明治時代の徳川家の住まい(重要文化財)

戸定邸は徳川最後の将軍徳川慶喜の弟で、水戸藩最後の11代藩主「幻の将軍」といわれた徳川昭武が約140年前に建てた、明治時代の徳川家の住まいがほぼ完全に残る日本で唯一の建物です。

江戸時代の松戸宿は江戸と水戸を結ぶ水戸街道の宿場町で、松戸神社には水戸黄門でお馴染みの、水戸藩二代目藩主徳川光圀ゆかりの銀杏の木もあり水戸藩との縁も深い土地です。戸定邸は江戸川を見下ろす高台に位置し、徳川昭武の生活の場として使用され、9棟の建物が渡り廊下で結ばれた23部屋からなる別邸です。(このうち8棟は重要文化財)指定名称は旧徳川家住宅松戸戸定邸で国の重要文化財となっています。
庭園は旧徳川家昭武庭園として国の名勝に指定され、関東の富士見百景にも選定されています。

表座敷棟。意匠を凝らした欄間の葵

表座敷棟は戸定邸中心の建物で64枚もの畳が敷かれ、欄間の葵は徳川家の家紋三葉葵とは違い二枚組の葉で光や風を通す個性あるデザインになっています。
中座敷棟、奥座敷棟、離座敷棟、使者の間棟など建材や細かい所までが使用する人の身分に合った造りでランク分けされています。
表座敷棟の西と南に広がる美しい庭園は、昭武が慶喜の代理として第2回パリ万国博覧会に出席した際に見た庭園をヒントにして作庭された、こだわりのある日本最古の現存する洋風庭園です。

日本最古の洋風庭園も見もの

標高25メートルの庭園からは江戸川と遠くに富士山を眺めることができ、今の庭は明治時代とほぼ同じ、現存最古と思うととても感慨深いです。
戸定邸からは例年11月12~13日頃と1月29日頃に富士山頂に日が沈むダイヤモンド富士を眺めることができるそうです。周辺にはタワーマンションや高いビルが建ってしまいましたが、美しい庭園と富士山を見渡す格の高い建物は、戸定台から江戸川を見下ろし今も健在です。

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