高齢者のための情報サイト【日本老友新聞】

老友新聞
ルーペ

コラム

2023年09月08日

江戸の地震 〈怖いもののトップ〉

(本稿は老友新聞2018年9月号に掲載された当時のものです)
毎日うだる暑さの日本列島。危険を感じるほど今年の夏は厳しい暑さでした。7月には豪雨のため大きな被害も出て、防災意識を高めた方も多いのではないでしょうか。

9月1日は「防災の日」。〈政府、地方公共団体等関係各諸機関をはじめ、広く国民が台風、高潮、津波、地震等の災害についての認識を深め、これに対処する心構えを準備する〉こととし、制定された啓発日です。

昭和35年の制定以前は、関東大震災犠牲者の慰霊祭が中心でした。
防災の日も近いので、今回は江戸を揺るがした大地震を振り返ってみます。江戸時代は埋め立て地であった東京都港区の汐留車庫跡地の発掘現場から、砂の地盤が地震の衝撃で液状化現象を起こした跡が堀り出されています。これは、江戸の町で何回も地震があったという証拠です。

江戸の地震のワースト5をあげてみます。
①宝永地震・1707年。
②安政江戸大地震・1855年。
③八重山地震・1771年。
④善光寺地震・1847年。
⑤元禄地震・1703年。

この順番は当時の記録では信憑性に問題はあるですが、何かを基準にしなくては順位が出ないので推定死者数が基準になっています。その数は①2万人強、②1万5千人、③1万2千人、④8千6百人、⑤4千人と推定されています。

江戸の町が大きく揺れた江戸時代の最大の地震、荒川の河口が震源地である「安政江戸大地震」は、震度6といわれ、大きな被害はその記録の多さからも読み取ることが出来ます。夜四つ(午後10時)小雨が止んだ頃、直下型の大地震は突然地面が沈むように江戸を襲い、釘を使用しない建物はあっと言う間に上から崩れ落ち、一斉に30カ所から火の手があがり江戸の町を炎で包みました。この地震の被害者のほとんどが建物の下敷きになった圧死だったといいます。

安政年間は数多くの地震が起きています。江戸大地震の前年には「安政東海地震」、その32時間後には「安政南海地震」と連発し、これが江戸地震と合わせて「安政三大地震」と呼ばれています。南海地震の二日後には「伊予海峡地震」も起きています。その恐怖を知った人達は「今度は江戸か……」と思ったことでしょう。このことから「巨大地震は連発して起こることが有り得る」という教訓を現代の私達に残していると思います。

今年に入って地震、豪雨、台風と連続した災害に見舞われています。自然災害から復興するまでに次の災害がいつやって来るのか解りません。日々の備えは勿論の事、有事の避難場所、安否確認の連絡等は今一度家族や知人で確認し、イザという時に対処出来るよう心掛る必要性を痛切に感じています。昔の災害から学び教訓を生かして、地域ごとの情報も収集し安心安全に暮らしたいものです。

この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。

酒井 悦子
  • 伝統芸能コーディネーター / 筝曲演奏家

幼少より生田流箏曲を学び、現在は国際的に活躍する箏演奏家。

箏の修行と同時に、美術骨董に興味を持ち、古物商の看板も得る

香道、煎茶道、弓道、礼法などの稽古に精進する一方で、江戸文化の研究に励み、楽しく解りやすくをモットーに江戸の人々の活き活きとした様子と、古き良き日本人の心を伝えている。

高齢者に忍び寄るフレイル問題 特集ページ
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
日本老友新聞・新聞購読のお申込み
  • トップへ戻る ホームへ戻る