コラム
「お江戸式?」夏の節電! 連載6
限りある電力を今までなんの工夫もせず湯水の如く使用していた現代人の私達。汗を掻き、知恵を絞る夏となった事はいうまでもありません。電気もガスもない江戸時代の気温は、今より多少低かったとはいえ、暑いことには変わらない夏をどのように過ごしたのでしょうか。先人の暮らしを可能な限り取り入れ、工夫しながら意識して「節電」に努めました。
江戸時代は「日の出とともに起床して日没とともに床につく」というのが生活習慣でしたが、今の時代は「日没とともに床につく」など難しいものです。そこで、せめて「日の出とともに起床」を実行しました。在宅の日は涼しい早朝から仕事を始め、せっせと片付け、陽のあるうちに夕食、風呂を済ますという生活リズムにすると、節電とともに自然と時間の節約にも繋がります。非常に画期的で、しかもいきいきと行動出来るという事を実感しました。太陽の動きに合わせる生活サイクルは、企業でいえばサマータイム。実に理にかない、大変効率良く事が運ぶものです。
クーラーも扇風機もない時代は、涼の取りかたの基本は団扇です。これも扇ぎ方次第で、手作りの優しくまろやかな風が思いのほか快適です。さらに、すだれを使うことにより風通しもよくなり、今年は昔からの道具がどこの家庭でも重宝したことでしょう。
また、朝顔などでつくる緑のカーテンは直射日光を避け、そのうえ見た目にも涼しげです。おまけに毎朝花を愛でることもでき、夏の間中、ピンクや紫の色とりどりの花も楽しめます。朝顔は江戸の花として庶民にも大変愛されていたようです。
そして効果絶大なのが朝夕のうち水。もちろん無駄の無いように雨水や生活水を使います。土の道が多かった江戸時代にはその冷却効果も大きかったかと思われます。庭や道端に水をまき、気化熱で気温を下げるといった知恵を人々は持っていたのでしょう。「うち水しぐさ」といい、いかに効率よく広い範囲に美しく水をまいて涼を感じるか競ったといわれています。店先などにふわっと青海波のような水をうった跡を「美」として道ゆく人の目を楽しませていたのでしょうか?
涼風にゆれる風鈴の音も涼を感じるひとつです。ガラス製の、大小それぞれの江戸風鈴が奏でる音色のクラデーションは一日の疲れを癒してくれる江戸からの贈りものです。見る、聞く、感じる五感をフル回転させながら自然と汗を掻き、少しでも先人の生活に近づけるように暮らしたこの夏。私と一緒に過ごした金魚、朝顔など、数々の夏柄の日本手ぬぐいにアイロンをかけるのも間もなくです。
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