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コラム

2021年01月04日

「アポロ計画から半世紀…当時の暮らしを振り返る」~本紙読者投稿より

先日、箪笥の底から変色した古新聞数枚を見つけました。
「人類月に第一歩」の活字が躍る1969年7月21日付の新聞です。およそ50年前の新聞です。

38万キロの旅をしたアポロの月面写真と、アームストロング船長ら2人の宇宙服姿の写真が並び、あの遠く輝く月まで行ける時代になったと驚いた。そんな思いで箪笥の底に入れておいたものですが、年齢とともに感激も記憶も遠のいていく今日です。

当時を振り返ると苦しかったことが思い出されます。
ある夏の事。3人の子供と長患いの姑を抱え、夫と田畑仕事だけの苦しい生活でしたので、乳牛を3頭入れて、搾乳を始めました。
軽トラックも出回り始め、私も自動車学校に通い免許を取り、牛乳も餌も車で運べるようになりました。

楽になったと喜んだ40代の夏。夫が脊椎炎を発症し歩行困難な状態となり入院となりました。1日3回は夫を見舞い、牛の世話、餌集め、乳しぼり、姑の世話と目の回る程の忙しさに、ついに私の体にも変調が現れました。
診察を受け、検査の結果は1週間後に出るとのことで、夫の病室を訪ねそう話したところ、
「俺も歩けるようになるかわからん。すぐに牛を売れ」
とのことで、3頭を売りに出しました。

結果が出るまでの辛く泣きたい1週間、誰にも言えず、苦しみましたが、結果は悪性ではなく、少しの入院で回復しました。
夫も徐々に歩けるようになり、退院できてホッとした暮れでした。

以後、農村も機械化、電化が進み、洗濯機、冷蔵庫、ガス、電話と、考えもしなかった生活が訪れました。
宇宙制覇とか、宇宙旅行とかいう言葉まで聞こえるこの頃です。日常生活に便利な新製品が出回っているようですが、使いこなすのは難儀と諦めている昨今です。

たまたま見つけた古紙のアポロの記事に、当時を振り返ったひと時でした。(静岡県 S・O)

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