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コラム

2020年12月25日

「爆風でガラスが刺さり負傷…見舞ってくれた兄に感謝」~本紙読者投稿より

戦時中の話です。
私は軍需工場で働くことになり、ある工場へ配属されました。

昭和19年12月に起きた東南海地震で、天竜川の鉄橋の一部が崩落してしまい、不通となってしまいました。私たちの寮も住めなくなり、砂山町の寮へ移ることになりました。
歩いて30分くらいの道のりを「神風」の鉢巻をキリリと締めて、2列に並んで大きな声で歌いながら工場まで通い、会社の一員として、お国のためにせっせと働きました。
しかしその砂山町の寮も焼けてしまい、今度は縣居という所の旅館を寮として身を寄せました。

ある日、爆風で飛んできたガラスの破片が、ズボンを突き抜けて私のお腹に刺さりました。小さいものでしたから、少しの手当てで大丈夫でしたが、一応負傷者の仲間入りです。
その知らせは家まで届き、それは一大事と、身軽な長兄が真っ暗な浜松の知らない街を走り、人に訪ねながら自分の危険をかえりみずに会いに来てくれたのです。
まさかこんな夜に面会に来てくれるとは思ってもいませんでした。地獄で仏様に会った感じです。
私は涙ながらに
「兄さん本当にありがとう」
と、何度もお礼をしました。

いざと言う時に、自分をかえりみずに心配してくれた兄。今は天国で私たちを見守ってくれています。あの時の事を思い出すたびに、「改めてその節はお世話になりました。ありがとうございます」と感謝の気持ちでいっぱいになります。
人様の喜ぶことをして、兄に御恩を返してゆきたいと思います。(静岡県 T・M)

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