コラム
2020年10月26日
「進まぬ終活」~本紙読者投稿より
80歳の頃から度々試みました終活。まずは衣類の片づけからと、やっている間に最初の心構えは忘れてしまって、
「あ、これは妹が編んでくれたものだ」
と考えてしまうと、一生懸命編んでくれた妹の姿が私の脳裏に浮かんでくるのです。
これは右の箱に入れて、あ、これはよく旅行に行く私のために二女が買ってくれたもの、これも右の箱へ。あ、これは長女からのプレゼント、これは三女からのもの、これも右の箱へ。あ、これは私の誕生日に嫁からの贈り物、これも右の箱。
…と、取っておくための「右の箱」ばかり。ああそうだっけ、こうだっけと、次々と思い出が頭に浮かんでくるのです。
たとえそれが10年前のものでも、色が少し褪せていたとしても、傷んではいない。自分に寿命があれば、来年のこの季節には着られると思い、右の箱へ。
左の「いらない箱」へは切れなくなった下着類が。右の箱のものはまた箪笥に戻っていくのです。
他人様に選別してもらえば価値のないものかもしれませんが、私にとっては愛情と思い出がいっぱい詰まった捨てがたいものなのです。
こんな事の繰り返しで、一向に進まないのです。
終活についての講演会にも行ってきましたが、人生の最後を迎えるために、どんなケアを望むかと言われても、難しいことは言えません。
食事が喉を通らなくなったら、私が望むのは胃ろうで栄養を送ったり呼吸器をつけたりしての延命治療は望んではいません。呼吸が止まったら口をしっかり閉めていただきたいと願っておりますが、希望通りにはならないでしょう。
兄弟姉妹が仲良く暮らしてくれることを常に願っております。(静岡県 T・M)
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