コラム
2022年08月17日
「忘れられぬ8月15日」~本紙読者投稿より
私は支那、北京にある陸軍病院のベッドの上で、昭和20年8月15日を向かえた。その瞬間、死をも覚悟しました。当時、病院の外では、銃声が絶え間なく響き、夜、昼問わず、死と背中合わせの日々でした。
病院長殿より患者全員に対する訓示がありました。それは軽挙妄動を慎む、厳しい言葉でした。
私は軍人としての心得を胸に、熱い物を感じておりました。そしてベッドの上で正座をし、魂の抜けた状態で時を過ごしておりました。
周囲を見渡すと、患者の罵声やら狂気の有様で、涙が止まらず、あの時の悔しさは今でも忘れません。
私の隣のベッドにおられた軍曹殿も同じ心境でいる様子が目に入りました。声さえかけられず、病棟の時計の針が時を刻むのを見ながら、私はいつの間にかベッドに伏しておりました。
終戦と同日、同年兵の戦友たちは、硫黄島にて玉砕しております。彼らに対して、生きている私の務めとして、毎朝仏壇に向かい、読経を続けております。8月15日は、また来年も訪れる。そのたびに辛い思い出が蘇ることでしょう。
(神奈川県 H・I)
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