コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
2022年03月23日
五輪に団体競技が増えているのは五輪憲章違反?
北京冬季五輪が閉幕。ドーピングや疑惑の判定…さまざまな問題が生じた大会だったが、さらに問題に思えたのは団体種目が増えたことだ。
今大会では、女子選手のジャンプスーツの大きさが問題にもなったスキージャンプ混合団体に加えて、フリースタイルスキーエアリアル団体とスノーボードクロス混合団体の3種目が新たに加わった。
団体戦は、チームの選手が1人ずつ登場。次々に同じ競技を行い、その成績を合算してチームの勝敗を決める。一方、チームプレーは選手たちが同時に競技に参加、協力し合ってプレーした結果がチームの勝敗となる。北京冬季五輪の新種目はすべて団体戦。
他にフィギュアスケートや男子ジャンプの団体戦もあり、カーリングやスケートのパシュート、スキーのリレー競技はチームプレーといえる。夏季大会では体操や卓球で団体戦が行われ、チームプレーは、サッカーやバスケットボールなどの球技で行われている。
要するに同じチームに所属する個人戦の結果を足し算したモノが団体戦なのだが、その結果は、個人の成果からチームの成果(栄誉)へ移り、五輪では「国の勝敗」となる。
五輪憲章には、オリンピックは《選手間の競争であり国家間の競争ではない》と明記されていて、この規則を正しく当てはめるなら、国がらみのドーピングで国名を使えなかったロシアのROC(ロシアオリンピック委員会)という呼称のほうが正しく、表彰式の国旗も国歌も「五輪憲章違反」となるはずだ。
かつては国歌や国旗の廃止を唱える国際オリンピック委員会(IOC)の委員もいたが、今ではIOCが団体戦を増やして「国対抗」(ナショナリズム)を刺激している。
「国家の競争ではない」という理念は放棄された?
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