医療と健康
お酒と健康(2)ワインの発祥とその魅力について
皆さん、こんにちは。 前回(2月1日付)は、「アルコールとの正しい付き合い方」について皆さんと考えましたが、今回は「ワインの発祥とその魅力」にフォーカスしてみたいと思います。
「アルコール」というキーワードで世界に目を向けると、かつて米国では「禁酒法」が制定されました。しかし、時代の流れとともに「ワイン法」を制定したようです。元々、アメリカ人は『肉食系』であったことから、虚血性心疾患が死亡原因の〝ナンバーワン〟でした。そこで、米国が世界各地を調査したところ、フランス人は『肉食系』であるにも拘(かかわ)らず、虚血性心疾患に悩まされていないことを突き止めました。さらに、生活習慣に関する追跡調査を実施したところ、一つだけ食文化に違いがあることを発見したのです。それが、『赤ワインを嗜(たしな)む』という食習慣でした。
早速ですが、皆さんに質問です。1kgのブドウからは、何本のワインを生産することができるか、ご存知ですか?
実は、ボトル1本分(750ml)のワインを作ることができ、ブドウのみを原料とした100%の飲み物が誕生します。
次のクエスチョンです。わが国には〝ブドウ酒〟という医薬品が存在するのを皆さんはご存知ですか?
食欲増進の効能・効果を有し、食欲不振の治療に用います。ちなみに〝ブドウ酒〟すなわちワインは、ギリシャ・ローマ時代より研究されていたようで、『ワインは最もおいしいクスリである』との名言を、医祖である「ヒポクラテス」は残したようです。
続きまして、ワインの原点について着目してみましょう。西アジアに分類されることもある東ヨーロッパの、旧ソビエト連邦の構成国であったジョージア(グルジア)は、ワインの発祥の地であると囁(ささや)かれていましたが、近年、遺跡が発見されたことからも、「8千年前にタイムスリップすれば世界最古のワインに辿(たど)りつける」という魅力を秘めた名所となっています。
実は、同国を含めたコーカサス地方には、長寿村としても有名な場所が存在します。同所は、ヒトの生命に必要不可欠な〝水〟が脚光を浴びていることからも〝水〟の大切さが身に染みます。
ここで〝水〟に関するこぼれ話です。私事で恐縮しますが、私は奈良県出身となりますので、奈良県民として忘れてはならないキーワードとし、「名水百選」を挙げることができます。『ゴロゴロ水』で名高い天川村の洞川(どろがわ)には、名水をはじめとする大地の恵みと、先人の知恵がハーモナイズした結果、「陀羅尼助(だらにすけ)」という妙薬が伝承し、現在、銭谷小角堂などで販売されています。機会があれば、奈良県が誇る日本独自の販売形態である「配置販売業」や、「クスリの歴史」についても触れてみたいと思います。
さて、ワインの話に戻りますが、高級ワインも元を辿(たど)れば「ブドウ」です。その成分である「糖」が「アルコール」になり、さらに良い保存状態であれば最終的には〝水〟へと化すことを、よくよく考えてみると、何となく神秘的なムードに包まれます。
ちなみに、ワインは時代の流れとともに、エジプトを経由したのち、ヨーロッパ諸国へ伝わり、さらには世界各地へと広まったようです。あの「世界三大美女」とされる古代エジプトの女王「クレオパトラ」も愛飲したと伝えられているワインですが、その広がりは布教活動にリンクしていたようです。
次回は、「健康に生きるための雑学」とさせていただきます。【続】
- 多根井 重晴 教授
- 所属:日本薬科大学 大学院薬学研究科臨床薬学領域 社会薬学分野
専門:教育心理・医療心理、離島医療・災害医療、薬事関係法規
出身:明日香村(奈良県)
趣味:ゴルフ、温泉、グルメ - 日本薬科大学 公式サイト
https://www.nichiyaku.ac.jp/
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