コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
コロナ対策「完全隔離バブル方式」は五輪開催の意味がない!
2月4日、北京冬季五輪大会が開幕。中国政府は五輪関係者や選手を「完全隔離のバブル方式」で新型コロナの感染から守ると断言した。
それは東京五輪で国際オリンピック委員会(IOC)のアダムス広報部長が口にした言葉と同じだ。彼は「バブル法式」で囲まれた選手村や競技会場を「パラレルワールド(別世界)」と表現した。
その結果、「私達の世界(五輪)から東京に感染を拡げなかった」という。が、五輪大会が「パラレルワールド(別世界)」として「実世界」と無関係でいいのだろうか?
五輪を「世界の平和の祭典」と言うのは、たとえタテマエであったとしても、世界各国から集まった若者たちが互いに交流し、開催都市や開催国の住民と少しでも交わってこそ、「五輪(五大陸の交流)」の異議があるはずだ。
それを平然と「パラレルワールド(別世界)」と表現し、「実世界(東京や北京)」とは無関係の「スポーツの世界」にしてしまっては、五輪も他の国際スポーツ大会(世界選手権やワールドカップ)とまったく変わらない、単なるスポーツ大会になってしまうのではないか。
いや、サッカーW杯やその予選では、試合前に選手たちによってあらゆる差別に反対し、人権を守る宣言が読みあげられたりしている。あるいは日本で行われたラグビーW杯では、台風によって試合が中止となった国の選手たちが、台風の被害に遭った地域に行ってボランティア活動をした。それらの活動は、五輪の画餅とも言える「平和の理念」以上の活動とも言える。
今は新型コロナでスポーツ大会や選手の「実世界」との交流は難しいかもしれない。が、「完全隔離の別世界」を自慢する中国政府やIOCは、スポーツの異議を本当に理解しているのか?と疑いたくなる。
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