医療と健康
高血圧の薬を飲みはじめたら逆に体調が悪くなった…
降圧薬を飲みはじめたら体がだるい
62歳の男性です。以前より血圧が高めだったのですが、先日、健康診断を受けたところ、年々悪化しているようで、再検査を受けたのですが、その結果、薬による治療をはじめることになりました。
降圧薬を処方していただいて飲みはじめたのですが、ところがその後、逆に体の調子が悪くなったような気がします。
体がだるくなったり、食欲が落ちたり、よく咳が出て風邪を引きやすくなったようにも思えます。
もしかすると、高血圧が進行して、体力や抵抗力が落ちたのでしょうか。それとも、何か別の病気が隠れているのでしょうか。
血圧下がりすぎに注意。他の病気が隠れていないか検査も
今回は高血圧の治療のため、降圧薬を飲み始めたところ、体の調子が悪くなったという方からのご相談です。
高血圧を放置すると、心臓や腎臓、血管などにダメージを与えてしまい、心筋梗塞、脳梗塞、心不全など様々な病気の原因になりますので、血圧はきちんとコントロールすることが大切です。
最高血圧が140、最低血圧が90という値が一般的な高血圧の基準になります。塩分制限や肥満の解消など、生活習慣の改善を行ってもこの基準を下回らないような場合は、やはり降圧薬による治療を行うことになります。
今回のご相談者の場合も、おそらくそういった経緯があって降圧薬を飲み始めることになったと思うのですが、まずはその薬を使って、どれくらい血圧が下がったのか、そこがポイントになります。
「白衣高血圧」といって、病院の診察室などで血圧を測った場合、普段ご家庭で測った場合よりも高めに出てしまう方がいます。そういう方が、その数値だけで判断して降圧薬を飲んでしまうと、場合によっては下がりすぎになってしまうことがあるのです。
例えば、若い頃から低血圧気味で、上が100を切っていても、まったく問題なく元気に生活されている方も多くいらっしゃいます。ところが、もともと血圧が高めだった人が、いきなり100を切るくらいまで血圧が落ちてしまうと、だるさやふらつきなどの症状が出てくる事があるのです。
もともとの血圧からどれくらい下がったのか、また急に下がりすぎていないか、そういった部分を主治医に相談いただき、薬の調整をしてもらう必要があります。
一方、よく咳が出て風邪を引きやすくなったとの事ですが、降圧薬のある種のものは、副作用として咳が出やすくなることもあります。念のため主治医に咳が出る事を伝えていただき、薬に関係がないかどうか確認してみてください。
その上で、やはり風邪のような症状が続く場合には、何か他の病気が進行している可能性も否定できません。咳が出るのであれば、健診の胸部X線撮影だけでは分からないこともありますので、CT検査なども行い、他の病気が隠れていないかきちんと調べるようにしてください。
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- 髙谷 典秀 医師
- 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事
【専門分野】 循環器内科・予防医学
【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士
【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)
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