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2021年10月12日

首の後ろにできたコブ。「粉瘤」あるいは「脂肪腫」か。

首の後ろに3センチくらいのコブが…


72歳の女性です。首の後ろにあるコブについて教えてください。
私の首の後ろには、3センチくらいのコブのようなものがあります。それは何年も前からありまして、以前はもう少し小さかったような気がしています。
痛みや違和感などはまったくなく過ごしてきましたし、大きさも変わりません。髪で隠れるので、全く気にしておりませんでした。
ですが先日、たまたま息子が帰省したときに見られて「場所が場所だけに検査をした方が良い」とすすめられました。
これは、悪性のものなのでしょうか。もし検査をするならば、どこへかかればよいでしょうか。教えてください。

答え

固く、大きくなっている場合には注意が必要


今回は首の後ろにコブのようなものができたという方からのご相談です。場所が首ということで、心配をされている事かと思います。

首の周辺にしこりができているという場合は、いくつかの可能性が考えられます。
まずはリンパ腺が腫れている場合です。リンパ腺の腫れの場合は、がんの転移や悪性リンパ腫というリンパ線の悪性腫瘍の可能性も考えられるので注意が必要なのですが、リンパ腺は首の前側に多くあるものですので、あなたのように首の後ろが腫れるケースはほとんどありません。また、かなり長い年月あるようですので、そういった面でも悪性のものは考えにくくなります。

このような皮膚のしこりの場合に多いのが、「粉瘤」や「脂肪腫」という皮下腫瘤です。
粉瘤とは、垢などの老廃物が、皮膚の下にできた袋状の組織の中に貯まってしまうものです。時間をかけて少しずつ大きくなり、通常は痛みやかゆみなどもありませんが、ときに細菌感染を起こすことがあり、その場合赤くなったり、痛みを感じることもあります。なるべく小さなうちに手術を行い、中の袋ごと切除してしまえば問題ありませんが、ごくまれに、がんへ進行することもありますので注意が必要です。

もうひとつの脂肪腫は、皮膚の下に脂肪の塊ができる腫瘍のひとつです。なぜか首や肩、背中の周辺にできることが多く、触ってもとくに痛みも感じません。長い年月をかけて大きくなっていくものなので、大きさは人によって様々です。通常は良性ですので、あえて治療をしない人も多いですが、目立つ場所にできてしまい人目が気になるような場合には、手術で切除することもできます。

一般的にはこの「粉瘤」か「脂肪腫」のどちらかの可能性が高いのですが、悪性かどうかは調べてみないと分かりません。とくに固く、大きくなっている場合には注意が必要です。

視診や触診などでおおむね判断がつく事が多いのですが、CTやMRI、超音波検査等の画像診断を行うこともあります。また、ときには針生検で内部組織を顕微鏡で観察するなどして内部の成分を調べ、原因を特定すること必要な場合もあります。一度、皮膚科を受診することをおすすめいたします。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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