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コラム

2021年09月06日

「黄砂の地を征く」~本紙読者投稿より

昭和19年4月25日、江蘇省丹陽に駐屯し、警備中の部隊に京漢作戦参加の指令が下りた。

河南省新郷に集結し、信陽を経て、漢口に向かい、作戦行動を開始。5月25日に新郷を出発した。
27日には黄河に到着し、驚いた。中国第2位の長さを誇る黄河は、その名の如く、水は黄色の濁流である。部隊は敵機の爆撃を避けるため、小休止も許されず、一挙に鉄橋を渡る。
黄河対岸から東は黄砂の発生地区である。乾いた風が吹くと、砂埃が風と共に舞い上がり、また、大部隊の通過でも乾いた黄砂がモウモウと立ち上り、想像を絶する光景だ。
兵隊の持つ銃にも布をかぶせておかないと動かなくなるという。顔を拭くと、汗と黄砂で真っ黄色となる。

タオルで顔を覆い、ただ、前を歩く兵の足元を見て歩くだけ。人の判別すら難しく、黄色い人形の行進を見ているようである。
将校も兵も、馬も、ただ黙々と黄砂と戦いながら行軍を続けたのである。
(香川県 K・Y)

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