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医療と健康

2021年07月07日

眼病と生活習慣病の関係

生活習慣病といえば、高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームなどが連想される。しかし高齢者の場合、これらの病気が糖尿病網膜症、加齢黄班変性などの眼病にも深い関わりがあるというのはご存知だろうか。これらの病気はほとんどの場合、血管病変から来ているという共通点があるのだ。今回は、これら生活習慣病と関わりのある眼病についてお伝えしよう。

日本人の平均寿命は年々高くなってきているが、大切なのは健康寿命であるということはすでにご理解いただいているであろう。最後の瞬間まで、きちんと自分の力で動くことが出来る。さらに「見る」「聞く」「話す」ことが出来て、人生を楽しく過ごせてこそ、長生きをする意味があるというものだ。

自分の力で、自分の意志で活動するためには、筋力の維持ももちろんであるが、目がきちんと見えていなければならない。人間は外からの情報の80%以上を目で感じとると言われており、もし目が見えなくなってしまったら、QOL(生活の質)は格段に落ちてしまうだろう。歳をとってからの視力の喪失はとくに深刻だ。そこで今回は、高齢者の失明原因としてとくに多い眼病についてまとめてみる。

先にも書いたが、生活習慣病からくる糖尿病や高血圧、そして脂質異常症などは、すべて血管にまつわる病気である。血管は、体中隅々にわたり張り巡らされているものだが、血管を裸の状態で、直接観察できるのは眼底、つまり目の奥底だけだ。この眼底の病気を専門としている眼科医は、眼底の検査をするだけで、その人の生活習慣は良いか悪いか、健康管理の状態はどうなのか、ほぼ読みとることが出来るという。

高齢者に多い眼病
糖尿病網膜症と加齢黄班変性

糖尿病網膜症、および加齢黄班変性とはどのような眼病なのか、それらの病気では、目の奥の眼底ではどのような現象が起きているのだろうか。

糖尿病網膜症では、まず眼底の毛細血管にこぶが出来る。血管の壁も弱くなっているので、こぶの部分から出血したり、血液の成分が外に出てきて、むくんだりする。さらに状態がひどくなると、血管が閉塞をし、血液が流れなくなってしまう。すると、それを補うために、本来そこには無かった異常な血管が新しく生まれるという。これは「新生血管」と呼ばれるもので、非常に血管の壁が弱く、出血しやすい。出血をすると、その部分で視力の低下が起こるのだ。

糖尿病網膜症が厄介なのは、ある日突然急激な視力低下が起こることだ。自覚症状はほとんどなく進行し、多数の新生血管が生まれてしまっても、それだけではまだ視力低下は起こらないという。新生血管が何かのきっかけで破れ、出血した際に初めて異常に気がつき、眼科を受診したときにはすでに重症化してしまった後だったということが多いそうだ。
加齢黄班変性はどのような病気かというと、目の奥にある「網膜」という光を捕らえる組織の裏側に新生血管が生まれ、裏側から網膜を押し上げてしまうのだ。
加齢黄班変性も、初期の段階では自覚症状に気がつきにくいというのが特徴だ。初期の段階では、ものが歪んで見えたりするのだが、完全に光を失うわけではない。たとえ歪んで見えていても、もう一方の目が正常であれば、そちらが見え方を補ってしまうので、よけいに気がつきにくい。そのまま放置して重症化すると、視野の一部が黒く抜けるようにして見えなくなってしまう。

眼病を予防するポイント

糖尿病網膜症は、とにかく糖尿病をコントロールすること。バランスの取れた食生活を心掛け、腹八分目、あるいは七分目くらいが良い。糖尿病と診断された場合は必ず糖尿病専門医にかかること。そして、たとえ糖尿病網膜症が無くても、2年か3年に一度は眼底検査を受けることがおすすめだという。

加齢黄班変性の場合、その原因の多くは喫煙である。糖尿病でも、高血圧でも、喫煙は体にとって非常に悪影響となるもの。予防には禁煙と、それから緑黄色野菜を積極的に摂取するのが良いという。緑黄色野菜に含まれるルテインには抗酸化作用がある。実はこのルテインというのは、目の中に含まれている色素で、いわゆるサングラスのような役割をしており、網膜に入る強い光をルテインが和らげ、視細胞の酸化を防いでくれるのだ。
残念ながら歳をとることで、このルテイン色素は少なくなってくるため、加齢黄班変性のリスクを減少させるにはこのルテインをとるのが良いという。また、ブルーベリーに含まれるアントシアニンも抗酸化作用を持っており、これも加齢黄班変性の予防に良いそうだ。
眼底疾患の多くは自覚症状に気がつきにくい。万一自分が糖尿病になってしまったら、内科の先生だけにお任せするのではなく、定期的に眼科も受診し、なにより自らの生活習慣を省みることが重要ということだ。

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