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コラム

2021年02月08日

国賓へのおもてなしに改めてマナーの大切さを学ぼう

(本稿は老友新聞本紙2019年7月号に掲載した当時のものです)

アメリカの大統領が、濃密な四日間の日本訪問を終えて、無事エアフォースワンで帰国した。
このたびの国賓としての大統領に対するおもてなしは、久しぶりに細かいところまで行き届いたものだった。

まず整然とした儀仗兵のセレモニー。オフホワイトの正式のユニフォーム。まさに一糸乱れぬ動き。天気も味方して晴天の下、遠来の客を迎える整然としたウェルカムだった。
儀仗兵というのは天皇や高位者の儀式や祝宴に共演するもの、かつては護衛の意味が強かったが、今は儀式に共演することが多くなった。

東京市ヶ谷駐屯地におかれている陸上自衛隊の三〇三保安警備隊中隊の栄誉礼の時に、その役割を果たしている。
トランプ大統領も、まずは晴春の中、最初の感動を得られたのがこの儀仗隊だっただろう。
日本もあんな演出ができるんだよ、というところだろう。

ゴルフ外交は総理の得意とするところで、スコア―は明かされなかったが、ほぼお互い短い時間を楽しめるスコアだったようだ。何といっても貸切のコースで青木功と回れたのだからトランプ大統領も大喜びだろう。

何といっても晴れやかで美しかったのが宮中晩餐会の豪華さ。
5月27日、国賓を迎え、初めての宮中晩餐会。英語で会話なさっていたというのがうれしかった。
 とくに皇后様はアメリカ留学の経験をお持ちだし、何よりのおもてなしだっただろう。
 トランプ大統領にとって天皇皇后両陛下とご一緒の四日間は何にも変えがたく誇りに思えることだろうし、両陛下も精一杯笑顔でお喜びだった。
招かれた160人あまりも生涯の喜びだっただろう。

和装の第一礼装が、それぞれの装いにかなっていた。
メラニア夫人もギャザーのスカートという流行を取り入れたドレス。長身のファーストレディを際立たせて美しかった。マナーも大変だっただろう。

かつてロンドンでエリザベス女王の主催するディナーパーティがあった(何のパーティか失念したが)。その時、招かれていたウガンダのアミン大統領が、フィンガーボールの水を飲んでしまったことがあった。
一瞬、空気が凍りついたが、エリザベス女王はにっこりとほほ笑みつつ、自分もフィンガーボールの水を飲まれたという。これも清い思いやりだ。

しかし、何といってもあの警戒。何の事件も暴動もおこらず、無事トランプ大統領はエアフォースワンの人となった。
タイトなスケジュールだったけど、多分喜んでくれた。
ただ、残念だったのは、
「観光旅行か?」
とか
「トランプはガイドか?」
とか……。
野党の口撃は国賓に対して失礼だ。
何はともあれ、お迎えしたお客様には失礼の内容に、また日本や和風の一面を味わっていただき、
「ありがとうございました。楽しい旅になりました」
と言っていただけるように、日本のマナーを大切にしよう。(本稿は老友新聞本紙2019年7月号に掲載した当時のものです)

 

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市田 ひろみ
  • 服飾評論家

重役秘書としてのOLをスタートに女優、美容師などを経て、現在は服飾評論家、エッセイスト、日本和装師会会長を務める。

書家としても活躍。講演会で日本中を駆けめぐるかたわら、世界の民族衣装を求めて膨大なコレクションを持ち、日本各地で展覧会を催す。

テレビCMの〝お茶のおばさん〟としても親しまれACC全日本CMフェスティバル賞を受賞。二〇〇一年厚生労働大臣より着付技術において「卓越技能者表彰」を授章。

二〇〇八年七月、G8洞爺湖サミット配偶者プログラムでは詩書と源氏物語を語り、十二単の着付を披露する。

現在、京都市観光協会副会長を務める。

テレビ朝日「京都迷宮案内」で女将役、NHK「おしゃれ工房」などテレビ出演多数。

著書多数。講演活動で活躍。海外文化交流も一〇六都市におよぶ。

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