コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
今年のプロ野球開幕日=6月19日は何の日?
6月19日、プロ野球が開幕。このニュースを聞いて、「素晴らしい日を選んだものだ」と感激した日本の野球ファンはどれほどいただろうか?
その日はベースボール発祥の国アメリカで「ベースボール記念日」とされているのだ。
1846年のその日、ニュージャージー州ホーボーケンで、ニッカボッカーズ対ナインというニューヨークの2チームがベースボールの試合を行った。そのときのルールを創ったのがアレクサンダー・カートライトという消防夫で、20点を超える得点をしたチームが勝利といった具合に、今日のルールとは異なる点も多かった。が、20以上の数を英語でスコアと呼んだため、野球の得点をスコアと呼ぶ慣習が生まれたり、1チーム9人で試合したり(それ以前は遊撃手が2人いて10人で守備をしたこともあった)、打者は3度の空振りでアウト、3アウトで攻守が交代……など、今日に繋がるルールが定められたのが174年前の6月19日だったのだ。
別にそんな歴史を知っていなくても野球を見たり、やったり、楽しむことはできる。が、せっかく今年の開幕を6月19日に選んだのなら、プロ野球関係者は「ベースボールの父」と呼ばれているアレクサンダー・カートライトに敬意を表し、「ベースボール記念日」のことをもっとアピールするべきだっただろう。もしも関係者の誰一人として「記念日」を知らなかったとしたら、それはやはり問題だ。
サッカーに次ぐ世界第2の競技人口を誇る柔道は、世界柔道連盟(IJF)のホームページに《1882(明治15)年、嘉納治五郎が知的道徳的教育につながる柔道を創造した》と書かれている。それを知らない外国人の柔道選手を我々日本人が不快に思うなら、野球記念日も知っておかねば。
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