趣味
2020年08月04日
「端渓の細かき石の肌に触れ香り立ちたる春の夜の墨」2020年8月入選作品|老友歌壇
老友新聞2020年8月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)
一 席
端渓の細かき石の肌に触れ香り立ちたる春の夜の墨
松尾 勝造
有名な中国産の端渓硯。その硯で磨(す)る時、香り立つ墨。春の夜の気分と相俟って、ほのかな色香さえ漂う一首です。
二 席
どこまでも緑一色田園を列車が走るたんぼ引き連れ
王田 佗介
一面緑色の田園を描写する事で、読者に夏の空まで想像させます。「たんぼ引き連れ」が秀逸です。
三 席
コロナ禍に一人もいないすべり台まだらに木々の影おとすのみ
岡本 政子
コロナウィルスで誰もいない公園。その寂しい光景を、下の句で抒情的に表現しました。
佳作秀歌
望遠のレンズに入りし山鳩を覗くつもりが覗かれている
荻野 徳俊
こちらをじっと見つめる山鳩。意外な事態とその時の心の動きを一首にまとめました。
久々に会う日のために髷を切りサンダル一つ新しくする
岸 慶子
「髷」は「髪」の書き違いでしょうか。サンダルという具体を入れることで、親しい人と会う日の心躍りが伝わります。
暗闇に青い光が乱舞する夢を見し午後義母は逝きたり
天野 照華
上の句が幻想的です。お義母様は作者に何か伝えたかったのかも知れませんね。
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