趣味
2020年06月23日
「山のコテージ 賑わう宴 星の光も 春近し」2020年6月入選作品|老友都々逸
老友新聞2020年6月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天の位
山のコテージ 賑わう宴
星の光も 春近し
菊地 幸子
若者達に混じっての熟年の意気。英語表現のコテージに歓びが響いています。
地の位
葉書ポストに 落とした音に
肩がすっきりする投句
大石 志津江
気合を入れての投吟。どんなジャンルにも挑戦できる頭脳の柔らかさこそ老化防止の秘訣ですね。
人の位
我が家から見る 尾鈴の山の
美観 茜に染まる山
黒木 弘
尾鈴山(おすずやま)は宮崎県都農町と木城町にまたがるマイナスイオンたっぷりの滝めぐりのできる名山。朝な夕なの美観の独り占めとは羨しい。
十 客
ビワの畑の 害虫除けの
白い花咲く 袋がけ
櫓木 香代子
白い花への袋掛け。これを詠んだことだけで詩情をとらえた、と言えます。
さくら かくして ゆらゆらゆれる
レースのカーテン 春の雪
王田 佗介
揺れるレースのカーテンを詠みつつ、屋外の浅い春を詠んで佳吟。
勝手口から 手を拭きながら
あーらお帰り 遠い母
向井 智恵子
母と娘は、いつも然(さ)り気ない会話や眼差しの愛情でつながっているのですね。「遠い」を距離ととるか時間(年月)ととるか…。
母が待ってる 笑顔が浮かぶ
帰る故郷の 花菜道
飛田 芳野
いくつになっても母上の笑顔とふるさとが一番。菜の花の咲く道がぴったり!
当たりますよに 美人に言われ
買ったジャンボの外れ券
山田 浩司
美人にはめったにお目にかかれませんが、確かに小さい窓口の奥ではそう言って呉れますね。
イングリッシュの 教師を歩む
児童は可愛いと 孫娘
手銭 美也子
「英語の先生」と言わず敢て「イングリッシュの教師」と仰言るところに、成長したお孫さんへの期待感が見えますね。
コロナ肺炎 侮るなかれ
見えぬウィルスが攻めて来る
鈴木 曻
正体の知れないことが厄介。ことに老人を狙う強敵らしい。
風は爽やか 節句の祝い
可愛曾孫の 鯉のぼり
高木 まつ
男の曾孫さんへの気持ちが清々しく伝わってきます。
明日は我が身と 老いたる姑(はは)を
嫁が労(いたわ)る 車椅子
惣野代 英子
義母への優しさは人間の最も美しい行為の一つ。
美声張り上げ鳴くうぐいすの
声を聞きつつ 日向ぼこ
勝亦 はる江
鳴き方も日に日に上手になって鶯らしい自信の付いた声になったな、と耳を傾ける豊かな特上の日向ぼこですね。
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