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コラム

2016年04月06日

江戸の~イキ~〈活・息・生き〉 連載3

今、日本の国が一丸となり、気持ちを前に向けて「元気」なエネルギーを持たなければならない時です。

江戸の町は活気に溢れて明るく、男性も女性も生き生きと暮らしていました。

テレビ放映される時代劇では、江戸の町を足早に歩く商人、参勤交代や出稼ぎの人々など、皆それぞれ一生懸命に生きていた様子を見ることができます。

江戸の人は一期一会の精神を大切にし、「お互いに明日はどうなるか判らないので、せめて今のお付き合いを美しく、丁寧にそして楽しくしよう」という気持ちでいたようです。こういう考えは刻を共有しているという発想でもあります。

江戸でいうイキは、京都の粋(すい)に対して、上方に威勢を示す意気込みから来ているともいわれ、〈生きる〉イキ、〈息をする〉のイキ、〈活き活きと元気に〉という意味があります。まさに《今、生きている》のイキということです。

子供が熱い物に触れたとき、思わず「熱い」と声を出して手を引っ込めるのもイキの表現で、親の保護がなくてもヤケドをしなくなるということにつながります。熱い物を食べた時でも同じで、「熱い」と声を出せるようになると、生きていくための自立の一歩、成長を遂げたとして、イキの祝いをしたそうです。

また二人以上のイキは、気が合う、息が合うのイキです。人間が集団になると、今度は意気投合の〈意気〉だと考えられていました。皆の気が合わなければ仕事も上手くいかないし、遊びも楽しくないという考えです。また、もし町でなにか問題など起こった時は、すぐに「自分が行ってなんとかしよう」と駆けつけるというイキでもありました。

打てば響く高感度の行動力を合わせ持ち、そんな心意気をサッとつつがなく他人に示すことが江戸っ子のイキに繋がっていたのだと思います。

しぐさは心が外に現れるものです。いま、イキな行動をどれだけの大人が示しているのか問われます。

一日一日を大切に。たった一度の人生、気持ち良く生き抜けるように、活き活きと働き、生き生きと人助けし、すっ飛んで行った江戸の人々の行動力と誇りを受け継ぎ、毎日意識して暮らしていきたいものです。

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酒井 悦子
  • 伝統芸能コーディネーター / 筝曲演奏家

幼少より生田流箏曲を学び、現在は国際的に活躍する箏演奏家。

箏の修行と同時に、美術骨董に興味を持ち、古物商の看板も得る

香道、煎茶道、弓道、礼法などの稽古に精進する一方で、江戸文化の研究に励み、楽しく解りやすくをモットーに江戸の人々の活き活きとした様子と、古き良き日本人の心を伝えている。

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