コラム
玉木正之のスポーツ博覧会
2019年12月25日
朝日新聞は夏の甲子園の主催をやめ高校野球を考え直すキャンペーンを行え!
今年の夏の甲子園大会は東北地方に持続160キロを超す剛速球を投げる投手が現れ、さらにその超剛速球の投手が地方予選の決勝で登板せず、所属高校が甲子園に進めなかったことで、野球部監督が批判されたりもした。
一方、身体の発達しきっていない高校生に連投を強いなかった監督の行為は素晴らしいと、監督を賞賛する声も出て、賛否両論が沸き起こった。
が、私はどちらの意見にも与(くみ)することができなかった。
「その投手には限界まで投げさせるべきで、高校生の夢の甲子園を奪った監督は許せない」とか、「甲子園で超高校級投手の活躍を見たかった」という意見は、まったく論外の暴論で、高校生の教育の一環である部活動を、まるで見世物のように扱っているとしか思えない。
その高校生が、もしも連投で方や肘を故障した場合、「投げさせるべき」と言った人達は、その投手がプロ野球や大リーグで得られたはずの金銭的補償まで考えて発言しているとは思えず、無責任も甚だしい謬(びゅう)論というほかない。
しかし、彼は将来大投手になる可能性があるから、肩も肘も守ってあげなければ……という意見にも、少々首を傾げたくなる。「才能ある球児の身体は守るべきだが、平凡な球児の身体は守らなくても良い」などという意見は、それこそ暴論も甚だしい。
結局は、猛暑の季節の真っただ中で、しかも予選は多くの高校の試験期間中に、短期間のスケジュールで大会を挙行してもイイのか?という問題に尽きるのだ。
今年で101回目の夏の甲子園だが、高校球児の健康状態に関する過去のデータが皆無というのも論外。朝日新聞社は主催社を辞退し、ジャーナリズムとして高校野球のあり方を考え直すべきだろう。
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