趣味
2019年09月27日
「故郷の匂いの 新玉葱を さっとさらして 昼の酒」2019年9月入選作品|老友都々逸
老友新聞2019年9月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天の位
故郷(くに)の匂いの 新玉葱を
さっとさらして 昼の酒
王田 佗介
昼酒の味わいが都々逸の味わいになっていて、いかにも酒呑みの佳吟。
地の位
笹の葉舟を 故郷に浮かべ
友と遊んだ 滝しぶき
高木 まつ
昔日(せきじつ)の夏の追憶が甦りましたね。「故郷に浮かべ」が心を打ちます。
人の位
里に帰れば 遺影の父が
もっと泊れと声かける
向井 智恵子
お里の居心地良さを、お父上の写真からの声に託して上手に甘えました。
十 客
梅雨の晴れ間の 洗濯物を
干せるだけ干す 共稼ぎ
飛田 芳野
人生を愉(たの)しく送って居られる様子が読み手を元気付けて呉れます。
にっこり笑って 大人を負かす
おぼこおぼこの女流棋士
岸 慶子
小学3年生10歳の囲碁最年少プロ棋士、仲邑菫ちゃんのこと。「おぼこ」の重ね打ちも読み手の虚(きょ)を突く妙手です。
詐欺の手口も 息子に化けて
老いの虎の子 御用心
惣野代 英子
「オレオレ詐欺」も息子を装(よそお)わない、新手が続々と出ているそうですね。
右手上げ猫 お部屋に置いて
待っていますよ 諭吉様
鈴村 三保子
招き猫にも右手と左手の効力の違いがあるそうですね。福澤諭吉に代わって渋沢栄一が新壱万円札の顔となります。
夫婦喧嘩にゃ 勝目はなくて
すねて無口の 数時間
岩崎 ますゑ
旦那が偉いのか、奥方がエライのか?下の句がスゴイ!
うちもあるかと 押入れ探す
お宝鑑定 依頼品
山田 浩司
よく捜してみましょう。きっと在りますよ。
側(そば)に残雪 チョロチョロ小川
水芭蕉咲く 初夏の山
菊地 幸子
叙景の歌。近景・遠景を夏への開放感の中で詠み上げました。
咲いた朝顔 今朝又しぼむ
恨みきれない 雨つづき
勝亦 はる江
今年はホントに梅雨明けが待ち遠しく思えましたね。
政治経済 物には疎(うと)く
よくぞ過ごした八十五
小林 良一
超俗(ちょうぞく)の境地だからこその御齢(おんとし)。でも本紙ではまだ中堅ですよ。
使ってみなけりゃ 解らぬ気持
使いづらいで 新人類
鈴木 曻
そうですね。いつの時代もそうだったのでしょうね。
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