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9月9日は救急の日。救命の一助「AED」を知ろう!~年間7万5千人が心臓突然死
胸骨圧迫+AED使用で救命率は4倍
多くの人がAED(自動体外式除細動器)をご存じだろう。では、身近なAEDがある場所や、AEDの使い方はご存じだろうか。AEDの使い方を知らなくても、「どこにAEDがあるか」を知っていることで救命の一助となることを知ってもらいたい。また、自分に何かあったときのために、その情報を多くの人と共有することが大切だということも覚えておいてもらいたい。
1分経過ごとに救命率は7~10%下がる
年間7万5千人近くの人が心臓突然死で死亡しているという。これは、毎日200人の人が心臓突然死で亡くなっているということだ。
日本AED財団の理事・事務局長であり、東京慈恵会医科大学救急医学講座主任教授の武田聡医師は、救命処置の迅速さの重要性を説く。
「通報から救急隊が来るまでの全国平均時間は8.6分です。マンションの高層階などではさらに時間がかかる可能性があります。一方、心臓が止まると1分経過するごとに救命率は7~10%ずつ下がる。病院に着いたときにはすでに勝負がついているというのが実状なんです」
そこで求められるのが市民の救命処置であり、AEDの使用だ。
「心停止後、胸骨圧迫心を施した場合の救命率は、何もしない場合の約2倍。さらに、胸骨圧迫+AEDの使用の場合は4倍になるといわれています。しかし、誰かの目の前で倒れ心停止になった人に限定しても、AEDが使われ、電気ショックされたのはわずか4・5%ほどでした」
武田医師は、誰かが心停止になったとき、私たち高齢者にもできることがあるという。
「ひとりだとAEDを使うべきかどうか躊躇する人が多いと思うんです。そのとき『AED使った方がいいんじゃないか』と誰かが声を上げると『私もそう思うわ』と協調が生まれ実際にAEDが使われるようになります。同時に『119番通報した方がいいぞ』『あそこにAEDがあったぞ』と指示を出すのは高齢の方にもできること。それをやっていただければもっと多くの人が助かると思います」
AEDの設置場所は駅、銀行、デパート、映画館、役場、学校、商業施設など、公共機関や人が多く集まるところが目安だ。東京都内では全ての交番、地方によってはコンビニに設置されているところもある。
「何か集まりがあるときは、まず会場のどこにAEDがあるか確認していただきたいですね。もし、今ここで誰かが倒れたときに、AEDがどこにあるかわかっていればすぐに持って来て、命を救うことができるかもしれないんです。EAP(エマージェンシーアクションプラン)といって、緊急時の行動を計画立てておくのも有効ですね」
倒れた人を見たら迷わず使う!
音声で使い方ガイダンスも流れる
AEDの使い方は実に簡単だ。電源を入れると自動音声でやり方を指示してくれる。それなのに、なぜ使用率が低いのか。それは先にも触れた「使ってよいのかわからない…という迷い」ではないだろうか。
「例えば、私が酔っ払ってそのへんで寝込んでしまったところにまちがえてAEDを装着しても、絶対に電気ショックは行いません(笑)。ショックの適応はありません、と判断してくれます。『空振りOK』、使うかどうか迷ったときはどんどん使ってください」
最後に、武田医師はこう語った。
「東京マラソンが開催されて13年になりますが、この間に心停止した方が11人いました。そして11人全員が助かっている。これは実に素晴らしい数字なんです。現場では日本医師会の先生方がドクターランナーとして走っていたり、また国士舘大学の学生さんが1~2㎞ごとにAEDを持って待機し、傷病者の連絡が入るとすぐにマウンテンバイクで駆けつけるという対策を取っています。つまり、ランナーの側に常にAEDがある状態では人を救命することができるのです。そして、私たちが目指しているのがまさにそれなんです」
そのためにも私たちひとり一人が、日頃からAEDがどこにあるか認識することが重要だ。さらに、AEDは迷わず使うことを忘れないでほしい。
なお、AED講習会に興味のある方は一般財団法人日本AED財団 電話03・3253・2111(10時~17時)までお問い合わせを。
■AEDを探せる『AEDN@VI』
日本AED財団制作の全国規模のAED MAPアプリ。
いざというとき近くのAEDを探すことができ、また自分が見つけたAEDを登録することができる
■『命を守る心肺蘇生・AED』
http://aed-project.jp/images/download/poster28-3.pdf
救急隊が来るまでにすべきことを、AEDの使い方を含めて説明。日本AED財団のHPからダウンロードできる
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