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医療と健康

2019年08月05日

食事中の「むせ・咳き込み」は誤嚥性肺炎の危険性も

食べ物を喉に詰まらせ咳込む

70歳の女性です。72歳になる私の主人の事なのですが、食事をするたびに、幾度と無く食べ物を喉に詰まらせ、咳き込む癖があります。

主人はおしゃべりで、食事をしながら喋っているせいかもしれませんが、1回の食事に2度3度詰まらせ、顔を真っ赤にするほど咳き込みます。それがほぼ毎日の事ですので心配になります。

本人は病院へ行きたがらないので、原因は分らないのですが、食べ物が喉に詰まりやすいのは、喉になにかでき物があるのでしょうか。それとも体質だから、放っておいてもよいのでしょうか。

答え

誤嚥性肺炎に注意
嚥下機能の検査を

今回は食事の時に食べ物を詰まらせて咳き込んでしまうご主人についてのご相談です。

やはり高齢になりますと、むせたり誤嚥したりする方が非常に増えてまいります。軽くむせる程度であれば良いのですが、繰り返し誤嚥する場合は時に重大な問題となることがあります。

通常、食べ物を飲み込むと、食道から胃へ流れていくものですが、誤って気管の方へ入ってしまうと、食べ物と一緒に雑菌なども一緒に肺へ入ってしまいます。それが原因で、誤嚥性肺炎を引き起こし、命を落としてしまう高齢者も非常に多いので注意が必要です。

誤嚥の原因は色々とありますが、ご心配されているような、喉に何かでき物があるため誤嚥をするというのはごく稀なことです。高齢者に多いのは、咀嚼機能や嚥下機能の低下によるものです。食べ物を飲み込む瞬間というのは、いわゆる嚥下反射といって、気道への入り口が蓋で締まるようになっています。ところが反射速度が遅くなり、気道への蓋を閉めるのが遅くなってしまうと、食べ物が気管へ入り込んでしまい、誤嚥の原因となるのです。

呼吸と嚥下の協調性の問題もあります。通常呼吸するときには、空気を気道へ導くため、その瞬間は食べ物などを飲み込めないように協調がとれているのですが、そういった機能も低下したりします。

また、脳梗塞などを起こしたことがある場合、嚥下をコントロールする神経がやられてしまって、誤嚥をしやすくなることもあります。

誤嚥の一番の問題は、肺炎を惹起させるということです。もし、むせやすい方で、熱が出た場合などには注意が必要です。熱が長引くようであれば、胸の写真を撮って、肺炎がないかどうかのチェックをしてください。

予防法としては、まずむせやすい方は、ゆっくり食べるように心がけることです。水分の多い食事には、少しとろみをつけてあげるとむせにくくなります。また、食事の後、すぐに横になったりしますと、食べた物が逆流して、知らぬ間に誤嚥をしてしまうこともあります。食後は暫く座位を保って、しっかり吸収、消化をしてから横になった方が良いでしょう。

あまり誤嚥の酷い人は、神経内科にて嚥下機能を検査することもできますので、一度診てもらうと良いでしょう。

また、口の中の衛生状態が悪いと、それだけ雑菌がたくさん繁殖しているので、それを誤嚥してしまうと肺炎になりやすくなります。歯磨きや入れ歯の手入れを欠かさずに行うようにしてください。

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髙谷 典秀 医師
  • 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事

【専門分野】 循環器内科・予防医学

【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士

【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)

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