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2019年07月02日
一人暮らし高齢者が急増する2040年問題。膨らむ社会保障費や介護人材不足も大きな課題
一人暮らしの高齢者が大都市で急増している。
2040年には一人暮らしをする65歳以上の高齢者が896万3千人となり、15年より43.4%増える――国立社会保障・人口問題研究所の世帯数に関する推計で明らかになった。
高齢者が世帯主の世帯は、2242万3千世帯で、全世帯に占める割合は44.2%になる。65歳以上の人口に占める一人暮らしの割合は15年より4.4ポイント増の22.9%となり、そのうち東京が116万7千人で最も多く、大阪、鹿児島と続く。
一人暮らし高齢者急増の背景には、未婚の男女が増えているのに加え、2030年には団塊の世代(1947年から1949年生まれ)全員が80歳以上となり、配偶者と死別するケースも多くなると予測。
都市では、地域で助け合う共助の基盤が弱く、孤立しがち。体の衰えや認知症などに伴い、要介護認定率、介護サービス利用率はともに高い。一人暮らし高齢者の増加は、老人福祉費や生活保護費などの増加と相関関係にあり、自治体財政を圧迫させかねない。
住み慣れた場所で介護、医療、生活支援を継ぎ目なく提供する政策を推進する中心となるのが「地域包括ケアシステム」である。しかし、現在でも深刻な介護人材不足はさらに拍車がかかり、買い物など日常生活の支援サービスに十分な対応ができるか不安視する声も多い。国の推計では、40年度の介護分野の社会保障費は18年度の2.4倍、26兆円に膨らむ。
今後、介護や見守りなどのニーズはますます高まる。高齢者を支える制度の見直し、財政の裏付けなどの検討が大きな課題となる。(老友新聞社)
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