趣味
2019年06月07日
「春昼の茶畑のなか鶏のひと声長くながく尾をひく」2019年6月入選作品|老友歌壇
老友新聞2019年6月号に掲載された短歌入選作品をご紹介いたします。(編集部)
一 席
春昼の茶畑のなか鶏のひと声長くながく尾をひく
宮本 ふみ子
春の長閑な雰囲気をとても良く捉えて秀逸です。「長くながく」のリフレインも効果的です。
二 席
寒流に遊びしカヌー軽々と担いで過ぐる若人まぶし
櫻井 美智榮
まだ寒い時期であればなおさら抱く、川で遊ぶ若い人への羨望にも似た思い。共感を呼ぶ一首です。
三 席
流行に縁なき母の太い指農家に嫁ぎ土を友とし
鈴木 昇
嫁いだ先で農業に一生を捧げたお母様への尊敬と思慕。「太い指」に、作者万感の思いが溢れています。
佳作秀歌
初物の蕗の薹さげ友が来る若草色の香りをさげて
大石 志津江
お友達が持って来てくれた蕗の薹の献立は春の味。美味しかった事でしょう!
カタコトと一輌電車菜の花の黄色の間を行く春うらら
岡本 政子
お花見の人を乗せて行く一輌電車。春うららな雰囲気いっぱいの一首です。
春風はわれを掬いて投げ落とす孤独の沼の底なき闇へ
上田 昭子
春はなんとなく物狂おしくなる季節。花を見て孤独を感じる作者に共感する方も多い事でしょう。
散り止まぬ智鋪の岩戸の山桜棚田の水面を覆ひつくして
青柳 忠良
智鋪とは高千穂の別名のようですね。神話の里の春の景色が美しく浮かびます。
金丸座の年に一度の大芝居花競べする満開にして
横山 一雄
四国こんぴら歌舞伎。あえて出し物に触れず桜を詠ったところがいいですねぇ。
この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。
- 今注目の記事!