趣味
2016年02月01日
2016年2月入選作品|老友歌壇
一 席
紅葉の桜葉一つ肩に落つ坂あえぎつつ登りいく時
多田 シズモ
あえぎながら坂を登る肩に、紅葉した葉がふわりと落ちた。作者を励ますように。
二 席
白き指に触れしその夜別れ来ぬ灯火管制の暗きホームで
福田 浩明
題詠の「指」で。読者にドラマを想像させる、映画の一場面のような一首です。
三 席
枝々に熟しし小柿多くして畑の一隅赤々とする
山岸 とし子
柿の色が、寒々とした風景を暖かくほっとしたものにしてくれます。
佳作秀歌
高々と皇帝ダリア咲きておりわれ三日程臥している間に
井口 ふみ子
植物の生命力に打たれます。
くるくると削られし鉄の切屑がつながりて青く床に届けり
荻野 荻野
鉄を切る場面を鮮やかに表現しました。
初冠雪の富士を見んとていそいそと路地ぬけいでて川土手に佇つ
塩谷 千鶴子
「いそいそと」に喜びがあふれています。
あの時は涙も出ぬに今となりじっと写真に見入る毎日
田下 清
涙も出ない程の悲しみだったのですね。
物言わば語り合いたしこのミシン人形創りの三十余年を
仲野 まつ乃
作者と一緒に生きてきたミシンです。
この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。
- 今注目の記事!