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「お薬手帳」は飲み合わせ事故予防のための必須アイテム。持っていくと薬代の節約にも
病院で診察を受けて処方箋をもらい、薬局で薬を受け取る…。その後の服薬管理、ご自身でできていますか? 加齢に伴い内科、皮膚科など複数の診療科を受診する人が多くなりますが、心配なのが、薬を多種類処方されることによるリスクです。そのリスクを防ぐためには、「お薬手帳」が役立ちます。日本薬剤師会常務理事の有澤賢二さんに、お薬手帳の上手な活用法を伺いました。
前の記事「薬の種類が多いと危険がいっぱい! 「かかりつけ薬局・薬剤師」と上手に服薬管理」はこちら。
薬の服用履歴やアレルギーなどを明記し、医療関係者に薬に関する情報を伝える「お薬手帳」。診察や調剤を受ける際に、医師や薬剤師が患者の情報を確認でき、薬の副作用や飲み合わせの事故の予防につながります。有澤さんによると、世間に浸透した契機は東日本大震災だそう。
「薬は津波に流されてしまったものの、お薬手帳があることで処方できたケースが多々ありました。処方履歴を時系列で把握できるので、とても有用です」(有澤さん)
お薬手帳は薬局で発行されますが、薬局ごとに分けるのではなく1冊にまとめるのが大前提。調剤時に薬局が記入しますが、薬を飲んだときの体調の変化など気になることは自身で書き込んでおくことも大切。最近ではスマートフォンで使える電子版も登場。種類により機能は異なりますが、服薬時間の通知や家族間での共有ができたりします。
また、お薬手帳持参で、薬代を節約することができます。薬代には「薬剤服用管理指導料」というものが含まれます。過去6 カ月以内に利用した薬局に再度処方箋とお薬手帳を持参すると、初めて行った薬局やお薬手帳を持っていない場合に比べて1 回に当たり薬代が30~40 円ほど安くなります(大病院の前にある門前薬局や、チェーン展開している大型薬局は除く)。
お薬手帳は1冊にまとめ、以下についても書き込みましょう
薬の副作用
過去の副作用は覚えている限り記入を。また薬によると思われる異変についても、メモしましょう
食品・薬剤アレルギー
食品や薬剤アレルギーがあれば詳しく書いておきましょう。処方された薬が適切かを確認してくれます。
ケアマネジャーの連絡先
要介護の方は、緊急時の連携のため、ケアマネジャーや地域包括支援センターの連絡先を書いておきましょう。
市販薬・サプリメント
自宅にある市販薬やサプリメントも記載しましょう。処方薬により悪い作用が起きないか確認してくれます。
自宅のお薬管理Q&A
Q.錠剤をつぶして飲んでもよい?
A.体の中で薬を届けたい場所や時間を考慮しているので、錠剤をつぶすのはダメ。飲みにくい場合は、他の形状のものがないかなど薬剤師に相談を。
Q.薬の飲み忘れ防止法は?
A.曜日や日にち、時間などで薬を分けて収納する服薬カレンダーや薬ケースの活用を。種類が多ければ薬局で一包化(1回分ごとに分包。有料)しても。
Q.残った薬は人にあげてもよい?
A.絶対にダメです。処方薬は診察時の個人の状態に合わせて出されたものです。似たような症状だからといって人にあげてはいけません。廃棄しましょう。
Q.薬は冷蔵庫で保管してもよい?
A.出し入れする際に湿気がつくため、高温多湿を避けて常温で保管しましょう。坐薬やインスリンなど冷蔵保管が必要な薬のみ冷蔵庫に入れましょう。
取材・文/中沢文子
<教えてくれた人>
有澤賢二(ありさわ・けんじ)さん
1964年北海道生まれ。日本薬剤師会常務理事、北海道薬剤師会副会長、国立長寿医療研究センター在宅医療推進会議委員。北海道薬科大学薬学部卒業後、病院・薬局に勤務し、2010年「屯田七条薬局」開局。
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