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後を絶たない高齢ドライバー事故。認知症検査、免許証返納…今後必要な取り組みとは?
高齢ドライバーによる運転事故が後を絶たない。
5月28日には、神奈川県茅ヶ崎市の交差点で、90歳女性が運転する乗用車が、横断歩行者ら4人を次々とはね、女性1人が死亡した。
75歳以上の高齢ドライバーの認知症検査を強化した改正道路交通法が、昨年3月12日に施行された。警察庁は6月7日、施行後1年の実施状況を発表した。それによると、1年間で約210万5千人が検査を受けた。そのうち約5万7千人が「認知症のおそれあり」と診断され、1892人が免許取り消し・停止になった。
また、医師の診断を求められる過程で免許証を自主返納・失効した人は約2万500人にのぼった。75歳以上の免許証自主返納は年々増加し、昨年は過去最高の約25万3千人だった。今年は4月末時点で10万人を超え、昨年を上回るペースという。
警察庁は「認知症検査が自分の認知機能を知る契機になっているのではないか」と話す。
高齢ドライバーの事故は、認知症以外の機能低下との関わりも考えられ、今後の研究・課題は多い。産業・交通心理学の所正文立正大学教授は、著書『高齢ドライバー』(文春文庫・共著)で、事故に結びつきやすい高齢者の特性として
1.視力(視野)が狭くなり、動体視力が衰える
2.知覚→判断→動作機能の低下
3.自分の運転能力への過信を指摘している
そして今後の取り組みとして、熊本県運転免許センターでベテラン看護師を配し、免許返納後の移動手段などについてのカウンセリングで効果を上げているメンタルケアや、運転断念後の移動手段としてタクシーをバス並みの料金で利用できる方策、自動運転車を70歳以上のドライバーには優先的に低価格で販売する、など複合的視点からの対策が必要と提言をしている。(老友新聞社)
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