コラム
鯉のぼりにまつわる秘密、いくつ知ってる?~端午の節句は女性の節句!?連載26
古い記述を辿ると、この日はもともと女性の節句であったとか……。
「忌み篭りを持って祭りを営んだ」とあり、その日は女性が菖蒲などの薬草で「魔よけ」をする日とされていましたが、そのうちに「菖蒲」が「尚武」「勝負」に通じ、端午の節句が男子の節句となったのは江戸時代からのようです。
月の初め、午の日で菖蒲の節句、尚武の節句ともいいます。
戦国時代から江戸初期、5月5日は武士社会で流鏑馬の伝統があり、子供たちも石投げ合戦をしたり、腰に菖蒲太刀という太い木刀をさし、元気に振り回し、武家社会らしい遊びをしていました。この影響で男子の無事成長を祝う日となり、端午の節句には江戸庶民の家でも幟、兜、長刀、人形などが並べられるようになりました。
幟にはその家の母方の実家の家紋が染められ、鯉のぼりも江戸時代中期頃よりあげられるようになりました。甍の波と雲の波の中を元気に泳ぐ鯉のぼりは、ゴールデンウィークの風物詩となっていますが、少し詳しくご紹介いたします。
意外と知られていないことですが、五色の糸で飾られた「薬玉」を、9月まで柱に掛けて飾っておき、九月の重陽の節句に交換するという風習もあります。薬玉の中身は麝香、沈香、丁子などの香料で、香りと五色で邪気を祓うと言われております。この薬玉が、後に武家の威勢と権力を表す陣中の吹流しと合体して鯉のぼりになったとされています。
鯉は昔から滝のぼりをして龍になるという言い伝えもありました。男子の出世を表すのが鯉のぼりです。中国の黄河にはいろいろな魚がのぼって来ます。黄河の中ほどにある龍門には滝をのぼり切った鯉が龍になるという故事があります。ここから「登龍門」という言葉が誕生しています。立身出世のシンボル「鯉の滝のぼり」です。
鯉のぼりを飾る順番は、一番上が吹流し、二番目が真鯉、三番目が緋鯉、そして最後が子供の鯉となっています。吹流しは、赤・青・黄・白・黒の五色。この五色は木火土金水の五行を表していて、邪気を祓う力を持っています。鯉を食べてしまおうとする龍は、この五色が最も苦手で近寄れないといわれています。
また菖蒲とヨモギを、屋根に乗せたり門口に飾ったりする習慣は、独特な強い臭いで邪気を祓い、健康を祈願するためで、また農家では害虫防止にも使用されていました。菖蒲が「尚武」(武を尚ぶ)につながることから、江戸幕府でもこの節句は重要視され、大名達は粽を献上しに江戸城に登城し、晒の帷子紋付に長袴で大広間に集まり、将軍にお目見えしました。帷子とは裏地のない夏向けの薄い単衣ものの装束です。
人日、上巳の節句と違って、端午の節句がこの帷子なのは、この日がちょうど、当時衣替えの日でもあったからです。(老友新聞社)
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