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コラム

2017年10月04日

相続人が1人もいない場合、私の財産はどうなるのでしょうか?

問い

私は現在89歳になりますが、相続人がおりません。

現在施設に入居して23年になり、大変お世話になっております。私もここで人生の幕を引くことになりますが、私の死んだ後は、私の財産を施設の方が引き出して、あとかたづけをしてもらいたいと考えています。

今も私の財産を管理してもらっていますので、そのまま引き継いでやってもらえればいいと思います。後始末をした後、たいして残らないと思いますが、施設の方でそのまま使っていただきたいと思いますが、可能でしょうか?

車イスも全部使ってもらえると助かります。長年お世話になったお礼の気持ちです。

答え

答え

施設にとっては大変有難い話ではありますが、結論から言うとあなたの思うようにいかないのが現実です。あなたのその気持ちを実現させるには、何らかの書面の作成が必要となります。

人は生きている内には色々な指示をすることもできます。また、意見を言ったり、自由に財産を処分することもできます。

しかし、あなたが亡くなった後は、だれがその財産を処分することになるのでしょうか。財産(現金や預金)自体には考えはありませんので、自分からどのようにしたいかと決めることは出来ません。

生前のあなたに財産を処分する気持ちがあっても、あなたが亡くなった後は確認することも出来ません。このようにあなたが亡くなったら、残された財産等について、色々と意見がわかれ、紛争が生じる可能性もあります。

このように財産の持主が亡くなった後に、その財産をどのようにするかについて、あるいは財産の帰属先を決めておくことが必要となるわけですね。

では、あなたが亡くなった後で、どのように財産の行き先を決められるのか、だれが財産を処分するのか、あなたが亡くなった後の色々な指示をどのようにしてするのがよいか、考えてみたいと思います。

 

財産は国に帰属することになります。

預金や現金等の財産は、その所有者、すなわちあなたが所有しているから、財産として有効に活用することもでき、その価値もあるということになります。その財産も、あなたがあってこその財産と言えるでしょう。

ところがその所有者であるあなたに万一の事があった場合、その財産はどうなるのでしょうか。あなたに相続人がいれば、あなたにかわって相続人がその財産の所有者となるわけですから、その財産は財産としての価値を有することになります。

しかし相続人がいないとなると、その財産はどこに行けばよいのでしょうか。人から見るとその財産は十分に価値のある財産ではありますが、所有権がありませんので他人はどうすることも出来ません。あなたのために生前からあなたの財産を預かって管理していたとしても、あなたの死亡後、当然に財産管理していた人のものになるというものではありません。

このような財産も財産的価値はありますので、ゴミとして処分することは不謹慎です。そのため法律は相続人がいない場合、最終的には国庫に帰属することとしています。

あなたが人生をかけて残された財産です。あなたの亡くなった後もその財産の行き先については、あなたの気持ちをできるだけ尊重してあげることがその残された財産にとっても、嬉しいのではないでしょうか。国に寄付する気持ちがあれば別ですが、そうでないなら、国に財産が行くよりも、知人や友人と言った親しい人に少しずつでも分けてあげたいと考えるのが、人情なのではないでしょうか。

 

次回は、自分が亡くなった後に、自分の気持ちをどのように実現するかについて、考えて見ましょう。(老友新聞社)

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