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2017年09月20日

「おんぶ背中のその温もりが 今の私を育ててる」2017年8月入選作品|老友都々逸

老友新聞2017年8月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。(編集部)

天の位

おんぶ背中のその温もりが
今の私を育ててる

大西 和子

「育ててる」にひっかかりを覚えましたが、背中の子(孫)に「私が育てられている」という感覚こそこの作品の命だと気付き、そのまま頂きました。上の句の言葉の流れがとても綺麗ですね。初句の三音目で切る形はなかなか成功しにくいのですが「おんぶ」のあとで一度背負い直したような実感があります。

地の位

愚痴も涙も途中へ捨てて
笑顔土産の里帰り

飛田 芳野

他の応募作から作者はマイカーを操る方とわかりますが「途中へ捨てて」に休息時の風景と心の切り替えを上手に表現しています。お里には帰省者の笑顔が一番ですね。

人の位

四季の装い青葉と若葉
豊かな自然の片田舎

高木 まつ

対象を落ち着いて捕えゆったりとした言葉で表現しました。

十 客

梅雨の晴れ間の御天道様に
身ぐるみはがされ洗濯機

王田 佗介

主治医の診察異常はなくて
おごる夕餉の初鰹

石野 文子

呆けたくらいが可愛いなどと
喜寿の息子の口減らず

仲野 まつ乃

何を見てるか網戸の向う
上り下りのはえ二匹

向井 智恵子

賞味期限の切れそな歳で
二度目の青春灯が点る

黒木 弘

戦破れて捕虜生活の
道路修理で飛ぶ礫

横山 一雄

大きくなーれと赤ちゃんパンダ
くわえて転がすママパンダ

櫓木 香代子

ベンチで一服涼しい風に
極楽味わう散歩道

鈴木 三保子

雨の音聞きまどろむ留守居
ベルが呼んでる昼日中

手銭 美也子

耳が元気で通じた頃の
電話恋しや友の声

岩崎 ますゑ

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