今月の都々逸は活字好きと思われる方からの作品が天位に、教え子が喜寿になられたという元教師の方からの作品も地の位に輝きました。（老友新聞社）

天の位

活字恋しく今日又辞書を
広げたくなる二本指

向井　智恵子

「活字好き」という方がいらっしゃるそうで、こういう心の傾きになられるのだナ、と推察。「二本指」という結句が、辞書に向かわれる雰囲気を見事に表現しています。

地の位

喜寿を迎えた教え子四人
老いた教師に会いに来る

石野　文子

教え子が７７歳なら作者は百歳にお近い。どうぞくれぐれもお元気で、よき人生の指針となっていてあげてください。

人の位

絣　恋しい子供の頃の
お茶摘籠負う初おろし

大石　志津江

初おろしの絣（かすり）の着物を着ての茶摘。ご自身のことか、少し年上のお姉さん達の様子か。日本の原風景として小学校歌の歌詞の中にも残っていますね。

十　客

うまいお水は自然のめぐみ
うまい空気は里の味

三橋　ユキ

小鳥巣で鳴く親餌運ぶ
頑張る子育ていじらしい

鈴村　三保子

親子三代賑わう畑
苗持つ手に手に光る風

手銭　美也子

呆けてしまった母さんかわい
一つ忘れぬ子守唄

飛田　芳野

やぶれズボンはダメージパンツ
呼び名でファッション新センス

山田　浩司

染めて隠した苦労の白髪
歳も隠した気でいます

大西　和子

豊洲築地に第三案と
捗る芽も出ぬ百合の花

櫓木　香代子

歩む人生身は飄々と
不平不満を捨てる旅

惣野代　英子

鳴門わかめに金長まんじゅう
竹輪も入って阿波の便

王田　佗介

皆んな知ってる昔の唄を
集いメドレークラス会

鈴木　曻