医療と健康
死ぬほど辛いめまいが1週間も続く…脳の病気!?
歩行も困難なめまいに苦しんでいます
88歳の女性です。2年ほど前から、1年に1回くらい、死ぬほど辛いめまいに襲われることがあります。天井や周りのものがグルグルと回り、足はガタガタして歩けなくなり、1週間ほど続きます。
とくに暑い日、畑仕事や庭の草取りなどをして、疲れた時にめまいが始まります。家で静かにしていると起こりません。
医者は、耳からきているのではないかと言いますが、少し遠くなっているだけで、会話に支障はありません。私は、脳梗塞が原因ではないかと思っており、心配です。
めまいの原因が分かりますでしょうか。また、なにか良い治療法がありましたら教えてください。
メニエル病に近い
耳鳴りや難聴の進行も
発作的な激しいめまいに悩まされている方からのご相談です。天井や周りのものがグルグルと回るような目眩を、回転性のめまいといいますが、そのような場合には、あなたが受診された医師の話すとおり、めまいは耳からくる事が非常に多いです。
耳は外耳、中耳、内耳の3つの領域からなっており、そのうち、内耳に異常があるとめまいを起こす事があります。この内耳からくるめまいにも何種類かあり、一般的なのは良性発作性頭位めまい症、メニエル病、前庭神経炎などがありますが、それぞれの症状には少しずつ違いがあります。
あなたの場合は、メニエル病の症状に最も近いと思われます。メニエル病は、一度発作が起きると、数時間から数日の間、回転性の目眩が続き、人によっては耳が聞こえにくくなったり、耳鳴りなどの症状が一緒に現れることもあります。発作の頻度は人によって様々で、何年かに一度という人もいますし、もっと頻繁に起きる人もいます。
メニエル病は、発作を何度も繰り返すうちに、難聴が進行することがありますので、現時点での聴力がどれくらいなのか、聴力障害が起きていないかなどの検査をする必要があります。最初に診ていただいたのが一般内科の医師でしたら、次は耳鼻科を受診して、詳しい検査をしてもらうと良いでしょう。
治療については、めまい止めなどを処方してもらって、万一発作が起きたら飲めるようにしておくことも良いでしょう。また、症状があまりにも強い場合には、より効果の高い、点滴による治療もあります。メニエル病はストレスが影響する場合も多いので、なるべく負担がかからないような生活スタイルを保つことが重要です。
あなたが心配をされている脳梗塞についてですが、確かに、脳の中でも平衡感覚を司る小脳に、出血や梗塞が起きると、目眩を起こすことがあります。しかしこの場合は、フワフワと揺れるようなめまいが多く、さらに嘔吐をするなど、かなり強い症状となります。その場合、メニエル病のように数日で症状が消え、その後再び発作を繰り返すということもありません。
また、血管が完全に詰まっているわけではなく、血管が細くなり、血液が流れにくくなっているような、いわゆる虚血状態で、めまいを起こすというケースもあります。しかしそういった時には、物を見ることや会話がしにくくなる等の神経症状が出ることが多いです。
万一、そのような症状にも心当たりがあるようでしたら、頭のMRI、あるいはMRAなどの撮影をし、脳の血液の流れを見たり、詰まっていないか、あるいは出血がないか、念のために詳しく検査を受けてみてください。
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- 髙谷 典秀 医師
- 同友会グループ 代表 / 医療法人社団同友会 理事長 / 春日クリニック院長 / 順天堂大学循環器内科非常勤講師 / 学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授 / 日本人間ドック・予防医療学会 理事 / 日本人間ドック健診協会 理事 / 日本循環器協会 理事 / 健康と経営を考える会 代表理事
【専門分野】 循環器内科・予防医学
【資格】 日本循環器学会認定循環器専門医 / 日本医師会認定産業医 / 人間ドック健診専門医 / 日本内科学会認定内科医 / 医学博士
【著書】 『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』出版:株式会社法研(平成27年7月)【メディア出演】 幻冬舎発行「GOETHE」戦う身体!PART4 真の名医は医者に訊け(2018年6月号) / BSフジ「『柴咲コウ バケットリスト』in スリランカ 人生を豊かにする旅路」(平成28年1月) / NHK教育テレビ「きょうの健康」人間ドック賢明活用術(平成27年5月) / NHKラジオ「ラジオあさいちばん 健康ライフ」健康診断の最新事情(平成25年11月)
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