コラム

三遊亭ぽん太の下町寄席からこんにちは!
第42回「大須演芸場」

三寒四温でそろそろ春ですね。
私が師匠好楽の元に入門を許され、ちょうど十年となりました。
早い!
あっという間!
前座期間の3年8ヶ月はとても長く感じましたが、二ツ目昇進して一年ほどでコロナ禍となり、そこからは本当にあっという間です。
鬼滅の刃の映画が大ヒットしたのとかもついこないだのように感じますが五年前なんですよね…
こわっ!
そんなわけで先日、地元名古屋の大須演芸場で入門十周年記念の落語会を開催しました。
二ツ目昇進した時にも大須演芸場で披露目を行いましたので、自主開催では6年ぶりの大須演芸場の高座です。
師匠にもゲストで出て頂けたおかげでほぼ満員御礼。
ただ高座でアンケートをとってみたところ、僕を見るのが初めての方が半分以上というそこそこアウェーなスタートでした。
そんな十周年あるんですね。
いや、ありがたいんですけどね!
全然知らない噺家のために足を運んで頂いてるわけですから。
当日券の方も20名近くいらして、大須演芸場という会場の有り難さを感じました。
大須演芸場は僕が子どもの頃、名古屋に住んでる人間なら誰もが行ったことがある、という場所ではなく、存在は知ってるけど入ったことあるのは1%ぐらい、な場所でした。
端的に言うとなんか怖いんです(笑)
立て看板も、会場の古さも。
出てる芸人さんは全然知らない人ばかりでしたし。
子ども心には場末のポルノ映画館とかに近い近寄りづらさというか。
昔出てた芸人さんがよくネタにしてますが入場料収入よりも外の自販機の売上で成り立ってたとか。
というか大須という町自体が昔はもっと怖かったです。
知らない方のために説明しますと現在の名古屋の大須というエリアは大須観音というお寺を中心とした大きな商店街でサブカル、オタクカルチャー、寺町がごちゃ混ぜになった東京の下北沢、秋葉原、巣鴨が合体したような老若男女が集う街です。
1990年代はもうちょっとオタクカルチャーの色は薄く商店街自体が暗かった気がします。
愛知万博前後くらいからですかね、名古屋めしとか名古屋カルチャーを押し出して陽気になったのは。
大須演芸場もちょっと街の雰囲気ともミスマッチになり2014年頭に閉鎖に追い込まれます。
借金もすごかったみたいですしね。
僕も入門前で、せっかくだしとそのラスト興行に行きました。
天井の染みやトイレのツンとしたニオイに時代を感じましたが、哀愁があってちょっと居心地の良さを感じました。
大人にならないと分かりませんね、そこらへんは。
公演内容自体も東京の寄席とはまた違う猥雑で興味深く。
地元のヤンキー数名が興味本位で入ってきてちょっとなめた感じで見てたのですが、上方の露の団四郎師匠の高座に「おもしれぇ!」と感心してて、僕もその芸の凄さに感動しました。
よき思い出です。
そんな大須演芸場も2015年秋にリニューアルしてからは外観はキレイですし、東西のメジャーな方を呼ぶようになったりして、お客様からの印象もだいぶ変わったように思います。
怖いって思う人は減ったでしょうし、なによりトイレがキレイ!
演者用のトイレもウォシュレット!
ありがとうございます!
そんな思い入れもあるもはや同期と言っていい大須演芸場で十周年の興行が出来たことを嬉しく思います。
この先も共に歩んで行けたらな、と。
ただ、2月頭にも名古屋出身の先輩に大須演芸場での落語会に呼んで頂いたのですが、その際にいた会場入り口でサインを欲しがるおじさんが今回全然来なかったことがちょっと引っかかってます。
名古屋駅の新幹線降りたところとか至る所にいる、落語会自体は見ないサイン欲しがりおじさん。
あのおじさんたちが群がらないようでは僕はまだまだ未熟です。
来たら来たで面倒だけど来なきゃ来ないで寂しい…
待ってます、サイン欲しがりおじさん!
あんまりしたくないけど!
では11年目のぽん太もよろしくお願いします!
かつての大須演芸場
お知らせ
春のぽんまつり’25~珍品ネタだらけ~
日時:3月29日(土)18時開演(17時半開場)
会場:ひらい圓藏亭
料金:1500円
予約:pontathe2nd@gmail.com
この記事が少しでもお役に立ったら「いいね!」や「シェア」をしてくださいね。
- 三遊亭ぽん太
- 落語家
- 1985年2月24日生まれ / 愛知県名古屋市出身 / 法政大学社会学部卒 / 2015年2月に三遊亭好楽に入門、前座名「好也」 / 2018年11月二ツ目に昇進「ぽん太」を襲名 / 現在、持ちネタは古典新作合わせて180席以上ある
- ぽん太さんのHP
https://pontathe2nd.amebaownd.com/
- 今注目の記事!