老友新聞2024年11月号に掲載された都々逸入選作品をご紹介いたします。（編集部）

天の位

「天下泰平」筆（ふで）庄之助
色紙　書院に映える秋

手銭　美也子

勿論、大相撲の木村庄之助さん。大相撲関係者には、字の上手な人が居ますね。

地の位

テレビ画面は　五輪のニュース
戦争（いく）さの事など　忘れがち

小林　良一

ウクライナでもロシアでも殺し合いが絶えない。庶民がそれに巻き込まれている。

人の位

秋の風物　大なべ設置
河原にぎわう　芋煮会

菊地　幸子

山形県の芋煮会は、今や全国的に知れ渡っていますね。

五　客

杖を突くよな卒寿に成って
無事に歩けた頃の夢

鈴木　曻

恐らく、あッと言う間の九十年、という思いなのでしょう。

努力重ねて　大谷選手
咲かす大輪　夢の花

王田　佗介

今年の嬉しいニュースはほとんど大谷翔平選手がらみ、といった感じですね。

遺（のこ）った筆跡　たどってみれば
夫の声する　天の川

倉澤　登美子

ご主人の遺筆の文字・文面をなぞっている姿の切なさに打たれます。

携帯電話を　スマホに変えて
頭かかえる　九十六

岡本　政子

「九十六」は御年齢のこと。私もスマホを良く熟（こな）せないので、電話としてだけで使用しています。

鈴をすず虫　ころがす美声
秋をわが世と　謳歌する

岸　慶子

一瞬のことながら、すず虫にとって、天下は我が物の感となるのでしょう。