コラム
相続の準備その9~生前贈与の問題
遺産分割で必ずと言っていいことに、「生前贈与」(特別受益とも言います)の問題があります。これは相続人の中の特定の相続人に被相続人(親)から財産の贈与を受けるような場合です。相続開始前にあった財産を特定の相続人に贈与すると、その贈与した財産分だけが減少することになります。
たとえば死亡前に財産が3000万円あったが、1000万円ほど相続人の1人長男に贈与したとすると、死亡時の財産は2000万円しかありません。これを相続人が法定相続分に従って分けるとすると、長男は1000万円分他の相続人より余分に相続したことになり不公平が生じます。相続はこの不公平を解決するため、特別受益(生前贈与)に制度を設けて相続人間の公平をはかるようにしています。
このように親から子への贈与は、何十回、何百回となく行われており、少額な額から多額なものまで多くあります。その原因も多々あります。遺産争いの中でこれらのことが問題となり、紛争が長期化になります。
このような問題を少しでも減らすためには、相続が開始する前にあなた自身の手でこれを解決する方法を定めておくことが必要です。特別受益は死亡時の遺産に特別受益を含めた合計額を遺産として組み入れ、これに相続分を掛けたものが取得する相続分となります。
特別受益があった場合、その相続から控除します。この特別受益を遺産に含めないようにすれば、特別受益に関する争いはなくなります。これはあなた自身がその旨を明記する
ことにより可能となります。特別受益があったか否かにかかわらず遺産に含まない(法律的には「持戻(免除)」と言いますが)旨を記載するとよいでしょう。
これはあなたが元気なうちに作ることが必要です。死亡後は勿論出来ませんが、判断力がなくなったからでは遅いです。是非考えて見て下さい。
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