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2024年09月24日

災害時に「防災植物」を~「日本防災植物協会」が提唱

最近、大きな地震や洪水など、国内外の自然災害が増えている印象がある。大きな被害はないに越したことはないが、今号では被災時に食べられる野草について取り上げたい。もともとツクシやタンポポなど、食べたことはなくても、食べられる野草が少なくないことはご存じだろう。その野草を、災害時の食料にできると提唱する『日本防災植物協会』の活動を紹介しよう。

災害時の食料難に
命をつなぐ助けに

読者のみなさんは「防災植物」をご存じだろうか。「山野に自生する植物の中から災害時食料難になった時でも安全で簡易に食することのできるもの」これが『日本防災植物協会』が定義している防災植物だ。大きな地震や洪水など、国内を見ただけでも大きな災害が起きている。もし避難生活を余儀なくされたら、防災植物は非常に役立つ食物となる。

防災植物の定義を定めたのは、植物生態学研究者の故・澤良木庄一氏だ。

「澤良木先生は、『自分の生活周辺の自然環境をよく知ることが防災の第一歩となる。その中で食用となる植物が多く自生しているので、知識を身につければ災害時に命をつなぐ助けになるかもしれない』と提言しました。もともと日本人には古くから野草を食べる習慣がありました。七草粥もその名残です。そして、澤良木先生の思いに共感し、生まれたのが『日本防災植物協会』なのです」

そう言うのは、日本防災植物協会事務局長で野菜ソムリエ上級プロの資格ももつ齊藤香織さんだ。

「協会の活動は3つの柱からなりたっています。1つめが野外観察と採集、2つめが植物の学習、3つめは調理試食です。まず屋外で、実際に自生している防災植物を発見し、観察する。そして植物に触れその触感を知り、匂いも嗅いで覚えます。また、近くに生えているかもしれない有毒植物との見分け方も同時に学びます」

防災植物の野外学習には、天気の良い日などはちょっとしたピクニック気分も味わえそうだ。

さて、最も興味があるのが調理と試食、というと不謹慎だろうか。野草がどのように変身してお皿の上にのるのか、知りたい方も多いだろう。

災害時と日常2通りの食べ方

齊藤さんは、防災植物には二通りの食べ方があると言う。ひとつは災害時、もう一つは普段の生活の中での食べ方だ。

「災害時は調味料や調理器具は、すぐには手に入らないかもしれません。煮たり焼いたりすることもできないことを想定して、私たちはビニール袋を使って味をつける料理を研究しています」

このとき役立つのがスナック菓子やふりかけ、ゴマなどだという。

「少量の水で洗った防災植物を小さくちぎって、ビニール袋に入れる。そこにスナック菓子やふりかけを入れて味をつけるのです。缶詰があったら、汁ごと和えれば同時にタンパク質も摂ることができます」

調味料代わりのスナック菓子は油分と塩分が多いが、これが野草の苦味を和らげるという。

「ゴマやふりかけ以外にも、栄養価が高く、扱いが簡単な乾燥わかめや切り干し大根などもお勧めですよ」

日常の食事にとり入れる

一方、防災植物を日常の食事に取り入れることについて、齊藤さんはこう語る。

「普段食べていないものを、災害時にいきなり食べられるかといわれたら疑問ですよね。ですから、普段から時々食卓に出して、食べ慣れてほしいのです。
当協会の『四万十ふれーばー*ボウサイショクブツカフェ』は、防災植物と四万十の農産物を組み合わせて作った料理を提供しています(写真)。その日の食材になっている防災植物を店頭に展示しているので、そちらも見ながらメニューを楽しんでみてください」

災害時は、一人ひとりが大きなストレスを抱えている。普段から防災植物に馴染んでいれば、むしろ食事時間はホッとする一時になるかもしれない。
みなさんも、普段から防災植物を気にかけ、家庭でも簡単に野草料理にチャレンジしていただきたい。

※「防災植物」は登録商標です。

●日本防災植物協会は、活動に賛同する会員を随時募集中です。詳しくはHPを御覧ください。
https://bowsai-plant.com/
また、地方での教室の開催も希望があればご相談ください。

《みんなが知っている防災植物》
季節に応じて食べられる野草は、全国に豊富にある。シロツメグサ・カラスノエンドウ・カキドオシ・ツユクサ・スギナ・オオバコ・ミツバ・ヨモギ・ヤブカンゾウ・ノビルなど

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