趣味
2023年10月24日
「月一つ主役をゆずる大花火」2023年10月入選作品|老友川柳
老友新聞2023年10月号に掲載された川柳入選作品をご紹介いたします。(編集部)
天 位
月一つ主役をゆずる大花火
倉澤 登美子
月と花火と、どちらが主語でしょうか。たまにしか打ち上げられない大花火に花を持たせるお月様の余裕。人間界も真似したいものですね。
地 位
あかさたなやっと友の名思い出し
中川 栄子
よく知っているはずの友の名が思い出せないのは辛いところ。「あかさたな……」と五十音をたどり出てきた安堵感。同時に、老いのもどかしさも。
人 位
夏の陽に老いの水分奪われる
田中 和代
酷暑に見舞われた今年の夏。水分の大切さを改めて認識しますね。日差しが心身に影響する様子を「老いの水分奪われる」と描写したのが秀逸です。
五 客
卒寿まで生きたく磨くチャーミング
原島 幸男
長寿の一つの目標は九十歳まで生きること。ただし、命があるだけでなく、魅力的な存在でいたい気持ちが伝わります。
トランプ占いおひとりさまの夜が明ける
森井 睦子
独り暮らしで夜も寝られず、すがるように引いたトランプ占い。何かヒントが見つかったのでしょう、気分にも夜明けが。
人類の耐熱限度近くなり
栗村 正
夏の暑さを自分が感じるだけでなく、人類全体の話に広げるスケールの大きさがあり、「耐熱限度」の語も利いています。
賃上げも増税のひもついている
王田 佗介
賃上げで、生活は楽になるかと思いきや、しっかり増税が用意されている皮肉。「ひも」にはイメージ喚起力がありますね。
「ワシワシ」に午前六時に起こされる
櫓木 香代子
早起きの旦那さまに、何かと頼りにされる生活。鳥のワシになぞらえるユーモアのセンスが光ります。仲良し家族ですね。
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